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若獅子インタビュー

独立派遣で多くの“気づき”を得た西武・出井敏博「一軍の戦力になりたい」/2021若獅子インタビュー第12回

 

進化を続ける日々


今季、育成で2年目を迎えた出井(球団提供)


 投手を始めたのは小学5年生。高校は野球の名門・埼玉栄高に進学し、その後、神奈川大では主にリリーフとして起用されたのは、2020年に育成ドラフト1位で西武に入団した出井敏博だ。

 入団当初の体重は70キロ。身長185センチの長身からするとかなり細い。「80キロを目標にして体力強化という面で1年目はしっかり基礎作りをしました」。1年目を終えるころには76キロまで増え、現在もキープできていることから「しっかり自分の体が出来上がったように思います」と厳しいトレーニングを重ね、同時により精悍になった顔つきはたくましく見える。

「ウエイトの重量を上げて、食事も栄養バランスを考えながらメニューを選んだりするようになりました。学生時代に厳しいトレーニングをしてこなかったので、強化練習のメニューはどれもキツかったのですが、いま思うとそこで下半身がしっかりしたことで長いイニングを投げても疲れが少ないのかなと思います」と手応えを感じている。

 2年目に入るときには「支配下登録はもちろん先発ローテーションでしっかり投げていくこと」を目標に立て、春季キャンプでは投げ込みを増やした。先発として投げるための体力や球の強さを意識して練習に取り組んだことで得られたことがある。自身でも「1年目のときには考えられないことだったので、自分の体の成長に驚きました」と日々進化を続けている。

 今年、ファームでは“開幕投手”を任されるも6回5失点に終わり、いいスタートを切ることはできなかった。その後、3月24日からルートインBCリーグの埼玉武蔵ヒートベアーズへの派遣が決まり「結果を出してやろうという気持ちでいます。インパクトのある活躍をできるように頑張ります!」という意気込みとともに飛び込んだ。5月31日に派遣が終了し「(この派遣を通じて)打者に対する攻め方や配球についても学ぶことができたと思っています」と多くのイニングを投げたからこそ得られた“気づき”にうなずいた。

 西武に復帰し、早々に用意された先発の機会は6月6日のイースタン・巨人戦(ジャイアンツ)。先発した出井は7回無失点と好投するも、翌週13日のDeNA戦(横須賀)から歯車が狂い始めた。結果は6回5失点。失点はすべて序盤に喫したものだった。「ちょっとした詰めの甘さが出たんだと思います。ヒートベアーズにいたときは、先頭打者は出塁させない、初回は点を取られないという強い気持ちでマウンドに上がっていたのですが、前回のジャイアンツ戦で成績が良かったから“抑えられるだろう”と気の緩みがあったのかもしれません」と猛省。好調の波に乗り急いでしまった。

メンタル面で果たした成長


先発として支配下昇格軍を目指していく(球団提供)


 そんな出井ではあるが、今シーズン大きく成長したところがある。それはメンタル面だ。マウンドでは「ブルペンであれだけの球を投げられたのだから大丈夫。絶対なんとかなると強い気持ちを持っています」。ヒートベアーズで過ごした2カ月間で投じたイニング数は50回1/3。「ヒートベアーズでは調子が悪くても長いイニングを投げさせてもらって、悪いなりにマウンド上で、冷静になって修正していく力をつけることができました」と自信をのぞかせた。埼玉武蔵ヒートベアーズでは中6日で先発ローテをまわり、登板してから休養日を挟んだ残りの日を計画的に使えるようになったという。「登板日にどうピークを合わせていけるか」ということに重点を置き、スタッフとも相談しながらランニング、ウエイトなどの内容や数を考えるように。しっかり先発投手としての調整が板についてきた。

 1年目と2年目の違いは明らかに登板機会が増えたこと。「一軍の先発陣に割って入れるような投球をするために、二軍でしっかりアピールして“出井は投げられるぞ”というところを見せて、一軍の戦力になりたいなと思います」。支配下登録の期限は8月31日。2ケタの背番号を勝ち取るために前だけを向いて進んでいく。

西武ライオンズ広報部
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