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編集部員コラム「Every Day BASEBALL」

「三浦イズムが浸透するのはこれから」指揮官の“色”を出すには時間がかかる。

 

今季いくつもの不測の事態が続いたが、徐々に“三浦イズム”は浸透しつつある


 ペナントレースは折り返し地点を過ぎた。DeNAは6月を12勝8敗2分と勝ち越し最下位を脱出したが、まだまだAクラスは遠い。やはり引き分けを挟んでの開幕6連敗、4月の10連敗が大きく響いている。外国人選手の合流遅れ、先発投手の総崩れという誤算はあったにせよ、三浦大輔監督はチームの現存戦力を見極め、タクトを振るう難しさを感じていたことだろう。

 新人監督の手腕はどう評価されるべきか。現時点で、ラミレス前監督が「データ重視」の特色をはっきりと打ち出したのに対して、三浦監督が目指す野球は“模索中”といった感がある。指揮官のカラーが出やすい攻撃については「強打、スモール(ベースボール)を状況に応じて」と語っていたが、犠打の数は増えたものの(リーグ4位)、盗塁はリーグ最少と特徴は変わっていない。

 これについて高田繁元GMはこう語っている。

「三浦監督の中には、ラミレス前監督と違う、こういう野球をしたいというのがある。でも昨年と同じメンバーが出ていたら難しい。足を使いたい、小技を使いたい、と言ってもできない選手が試合に出ているんだから。野球を変えたいなら、選手を変えないとダメ。三浦監督が結果を出すには時間がかかる」

 つまり、理想とする野球があるのなら編成と一体となって目指さなければ勝てる形はつくれないと高田氏は語る。とはいえ、監督としては結果がすべてであり、目の前の勝利を最優先するのは当たり前のこと。助っ人を中心とした強力打線を全面に打ち出して交流戦で3位につけたように、勝つ可能性の高い野球を展開するのは当然の選択だ。それと同時に、来シーズン以降を見据えた選手起用をどれだけできるか。現在の一軍には、投打ともに数年後のチームづくりを意識した選手がベンチ入りしている。

 三浦監督の3歳年上で、現役時代はともに1998年にベイスターズでリーグ優勝&日本一を経験した斎藤隆氏はエールを送る。

「大輔は選手のころから一つひとつのことを丁寧にこなす真面目な男。物事を時間をかけてしっかり進められる人間です。高卒ということもあってデビューに時間がかかったし、監督としても最初はああいう(勝てない)時間を過ごすタイプだと思う。2年契約なら2年をしっかりと見たい。三浦イズムが浸透するのはこれからです」

文=滝川和臣 写真=小山真司
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