チームを勝利へとつないでいくリリーフ陣。ここが盤石でなければ勝利もおぼつかない。果たして、重要な役割であるこのポジションはしっかりと機能しているのか。パ・リーグ6球団のリリーフ陣を100点満点で採点した。 ※記録は7月5日現在 埼玉西武ライオンズ
西武 50点
西武のリリーフ陣は平良海馬が孤軍奮闘している状況だ。7月1日の
ソフトバンク戦(PayPayドーム)、1対0の9回にマウンドに上がった平良はソフトバンク打線をゼロに抑え、11セーブ目をマーク。これで2006年
藤川球児(
阪神)を抜く開幕から39試合連続無失点のプロ野球記録の金字塔を打ち立てた。しかし、それでもチームのリリーフ陣の防御率は4.13とリーグ最低。昨季のセーブ王・
増田達至は防御率6.75と状態が上がらずに5月4日登録抹消。増田が二軍落ちした直後にクローザーを務めた
ギャレットも安定感を欠き、現在の防御率は4.18。右肩の不調で一軍昇格が5月3日と遅れた
森脇亮介も防御率4.71と振るわず、7月3日二軍再調整へ。確固たる勝利の方程式を組めていないのが現状だ。7月中旬から1カ月の五輪ブレークがあるが、その間にリリーフ陣の再整備を行いたい。
オリックス・バファローズ
オリックス 70点
開幕当初は浮上できずにいた一因が救援陣の不安定さだった。開幕時は
漆原大晟を抑えに据えるも四球から崩れて痛打を浴びるなど精彩を欠き、代わった
ヒギンス、平野佳寿も負傷離脱。一時は
能見篤史が9回のマウンドに上がった。そんな中、交流戦で故障者が復帰。8回=ヒギンス、9回=平野佳と勝ち継投が定まり、僅差の試合をモノにできるようになると、連勝街道をひた走って一気に首位へ。漆原も安定した投球を見せ始め、K-鈴木、
澤田圭佑、
張奕らも加わり、ブルペン陣は強固に。勢いに乗れなかった一因は救援だったが、躍進の立役者もブルペン陣だ。
東北楽天ゴールデンイーグルス
楽天 85点
球界屈指のクローザーにのし上がってきた
松井裕樹が中心となる。昨季は開幕から先発転向も、シーズン終盤から元の仕事場へ。ここまでは順調にセーブ数を積み上げており、自身2度目の最多セーブ獲得へ視界良好だ。まついへとバトンをつなぐのは安樂智大、
酒居知史、
宋家豪の右腕トリオだ。また、プロ5年目の
西口直人が救援でプロ初勝利挙げ、ドラフト4位ルーキー・
内間拓馬も
石井一久GM兼任監督から「内魔神」と呼ばれ、最速155キロの速球が魅力。キャリア豊富な
ブセニッツや
牧田和久が復調すれば、さらに層が熱くなりそうだ。
福岡ソフトバンクホークス
ソフトバンク 65点
ルーキーイヤーから7年連続50試合以上登板を続けてきた鉄腕・
森唯斗。150キロ超のストレートと変化球で打者から三振の山を築くL.
モイネロ。不動の抑えとセットアッパーがともにチームからいなくなるという事態を誰が想像しただろう。モイネロに関しては東京五輪予選からの再来日→隔離期間→ファーム調整を経て近日中に一軍合流する見込みだが、5月末に左ヒジを手術した森の復帰はいまだ未定だ。だが、こんな危機的状況をも、総力戦で耐えしのいでいるのだから恐ろしい。リリーフ陣の防御率は12球団ダントツの2.42。嘉弥真新也、
岩嵜翔の経験豊富な2人がしっかりとチームを引っ張る投球を見せグラウンド内外でチームをまとめ上げれば、
津森宥紀、
田浦文丸、
板東湧梧、
泉圭輔(現在はファーム再調整中)といった若手がチャンスとばかりに持っている力を存分に発揮する。ゆるがない安定感は点数以上の価値がある。
千葉ロッテマリーンズ
ロッテ 65点
開幕3連戦で抑えの
益田直也が痛打を浴び、連敗スタートとなったが、益田が徐々に復調。
澤村拓一がメジャー移籍で抜けたとはいえ、
ハーマン、
唐川侑己、益田の勝ち継投を、今季も固めていった。だが、6月に入るとハーマンが腰痛、唐川も首痛で離脱してセットアッパーが不在に(ハーマンは6月末に復帰)。ただ、十分に代役を務めているのが、佐々木千隼だ。開幕から安定した投球を続ける右腕は、直球は140キロ台中盤も、ゆったりとした投球フォームからカーブ、シンカーを両コーナーに投げ分け打者に的を絞らせず、28試合登板で防御率0.87と、見事に“8回の男”に定着。唐川が復帰すれば、さらにブルペンは強固になること間違いない。
北海道日本ハムファイターズ
日本ハム 60点
序盤こそリリーフ陣が精彩を欠いたが、開幕から3カ月を過ぎ勝利の方程式は確立されてきた。7月5日現在の救援防御率は3.75。5点台をたたき出していた序盤に比べて良化傾向にあるものの、リーグ5位の数字。鉄腕リリーフ・
宮西尚生が本調子ではない中、代わりに中継ぎ陣の柱を担うのがホールドポイントリーグ3位タイの堀瑞輝。堀とともに勝ちパターンのセットアッパーを務める
河野竜生(防御率1.54)、B.
ロドリゲス(防御率2.49)も健闘している。この3人が7、8回を抑え、クローザー・
杉浦稔大へとつなぐ。杉浦はリーグ3位の15セーブを挙げているが、7被弾は抑え投手でワースト。一発を防ぐ投球ができるかが今後の課題となってくる。
写真=BBM