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ソフトバンクから移籍の阪神・二保旭は「投手陣の救世主」になれるか

 

使い勝手がいい投手


7月7日のヤクルト戦で移籍後初登板初先発した二保


 首位を快走している阪神だが、巨人が猛追してきている。そこで新戦力として、中谷将大とのトレードでソフトバンクから移籍してきたのが二保旭だ。7月2日に入団が発表されると、7日のヤクルト戦(神宮)に移籍後初登板を先発で果たす。初回に2点を先制してもらうも、その裏に山田哲人に3ランを浴びるなど4失点と立ち上がりでつまずいたが、その後はゼロに抑え、5回4安打4失点で勝敗はつかなかった。

 二保は九州国際大付高から2009年に育成ドラフト2位でソフトバンク入団。4年目途中に支配下登録された。11年オフに戦力外通告を受けるが、合同トライアウトを経てソフトバンクと育成で再契約を結ぶ。12年にはウエスタン・リーグで11勝無敗と圧巻の投球を見せて7月末に支配下登録される。ブレークしたのは工藤公康監督が就任した15年だ。44試合に救援登板し、6勝1敗5ホールド、防御率3.25。セットアッパーとしてチームの日本一に大きく貢献した。常時145キロを超える直球に加え、変化球も縦のスライダー、カーブ、カットボール、チェンジアップ、フォークボールと多彩でクイックも速かった。

 将来を嘱望されていたが、翌16年春に右ヒジ痛でトミー・ジョン手術。同年から2年間、一軍のマウンドから遠ざかった。18年は戦列復帰のメドが7、8月に設定されていたが、開幕早々、サファテ岩嵜翔が故障で相次いで離脱。首脳陣から早期復帰プランを要請され、4月上旬に一軍昇格。35試合登板で、1勝0敗4ホールド1セーブ、防御率5.34の成績を残す。

 19年は8試合登板で1勝4敗、防御率3.99、昨年は12試合登板で4勝5敗、防御率4.92と目立った活躍はできていないが、投げている球は決して悪くない。今季も一軍で2試合の登板にとどまっていたが、二軍では11試合で4勝1敗、防御率2.57の好成績をマーク。他球団のスコアラーは「二保は以前から他球団の間でも評価が高い選手でした」と証言する。

「直球は力強いし、変化球の精度も高い。一軍で力を発揮できないのは選手層が厚いソフトバンクの投手陣の中で、結果を出さなければ二軍に落とされるという精神的な重圧もあったと思います。このトレードで二保が腹をくくれば、持っていた潜在能力が開花する可能性は十分にある。先発も救援もできる投手なので使い勝手がいいと思います」

優勝へのキーマンに


 阪神は救援陣がピリッとしない。開幕からブルペンを支えてきた岩貞祐太が調子を落として5日に登録抹消。春先は絶好調だった岩崎優も失点する登板が目立つようになってきた。

「二保が先発で使えるメドが立てば、外国人枠の関係で登録抹消しているアルカンタラをセットアッパーで使う選択肢が出てくる。先発陣は西勇輝青柳晃洋ガンケル秋山拓巳、ドラフト2位左腕・伊藤将司とそろっている。ここで『6枚目の先発』で二保が結果を残せば、救援陣も再整備できてチームが良い形に循環する。首位争いを繰り広げる中、キーマンになる存在だと思います」(スポーツ紙遊軍記者)

 プロ13年目の31歳。紆余曲折を経て、ここから脂が乗り切る時期だ。縦縞のユニフォームを身にまとい、覚醒する二保の姿を阪神ファンは待ち望んでいる。

写真=BBM
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