2016年のドラフトでは1位で田中正義はソフトバンク、佐々木千隼はロッテに指名されて入団した。この年の指名選手は今年で5年目を迎えるが、“出世頭”と言える選手は果たして誰か? パ・リーグ6球団の「2016年ドラフト指名組」の現状を見ていこう。 記録は7月9日現在 オリックス・バファローズ
即戦力の期待どおりドライチの
山岡泰輔が新人年から先発ローテーション入りと投手の大豊作年だ。中でも最大の“出世頭”は4位の山本由伸。1年目の8月に一軍デビューを果たすと、2年目はセットアッパーとしてブレークし、3年目から先発再転向して今やエースとしてチームを支える。ほかにも2位の
黒木優太、8位の
澤田圭佑、育成1位では
張奕、同2位では
榊原翼もいる。トミー・ジョン手術を受けた6位の
山崎颯一郎も、7月8日の
楽天戦(京セラドーム)でプロ初先発し、5回無失点と好投。大器の片りんを示すなど、多くの投手がチームの中心となっている。
千葉ロッテマリーンズ
ロッテ・佐々木千隼
史上初の第2回入札(外れ1位)で、5球団が競合した佐々木千隼が台頭してきた。1年目の2017年は開幕先発ローテーション入りも以降は伸び悩み、翌18年は右ヒジを痛めて開幕二軍スタート。すると6月に「痛みがなくなるのなら……」と手術を決断した。リハビリを経て19年7月に656日ぶりの復活勝利を挙げ、昨季からは救援登板に。今季は開幕から安定した投球を続けると、
唐川侑己が首痛で離脱してからセットアッパーとして奮闘している。29試合登板で防御率0.84と安定感は抜群で、オールスターにも監督推薦で初出場を決めた。今季の前半戦MVPと言っていい活躍だ。
東北楽天ゴールデンイーグルス
2位の
池田隆英は
日本ハムへ、9位の
高梨雄平は
巨人へ移籍。投手の中で最も多くの実績を残しているのが5位の森原康平で、3年目の19年には64試合に登板して29ホールドとセットアッパーとしてチームに貢献した。だが20年は救援に回るも定着できず。現在は再び中継ぎとして巻き返しを図っているところだ。1位の
藤平尚真は先発として期待されるも、5年目の今季も先発ローテーションに食い込むことができないまま。一方の野手では、スイッチヒッターの3位・
田中和基が2年目の18年に105試合に出場して18本塁打、21盗塁と活躍し、新人王に輝いた。それでも現在はレギュラー定着に至っていない。奮起が求められる「2016年ドラフト指名組」だ。
福岡ソフトバンクホークス
2016年のドラフトは大本命だった田中正義を1位で5球団競合の末に引き当てたとあって、支配下選手の指名はわずか4人で終わった。その田中が即戦力と期待されるも結果を残せず、昨季までで一軍登板11試合(18年に10試合、19年に1試合)のみというのは誤算だったが、今季は6月25日に昇格を果たすと、ここまで3試合の登板ながら、これまでとは違った雰囲気を漂わせている。「自分が持っている力をすべて出し切ろうと」と気持ちを込めた投球ともに笑顔も。いよいよ覚醒の時か!? また、3位の
九鬼隆平、4位の三森大貴も一軍で絶賛アピール中。特に三森は、
周東佑京、
牧原大成に代わって一番にハマり、勝負強い打撃を見せる。出場試合数、成績だけで見れば“出世頭”。もう1度、勢いを取り戻し、レギュラー奪取といきたい。
埼玉西武ライオンズ
夏の甲子園優勝投手として1位で
今井達也が入団した「2016年不ドラフト指名組」。その今井は2年目から5勝、7勝、3勝と少々伸び悩んでいたが今季はここまで5勝、防御率2.71をマークと才能が開花しつつある。だが、一番の“出世頭”は3位の源田壮亮だ。1年目から遊撃の定位置を奪い、新人王を獲得。18年からは3年連続でゴールデン・グラブ賞、ベストナインに輝いた。昨年からは主将を務め、先頭に立ってナインを牽引している。さらに5位には19年にパ・リーグ記録の81試合登板を果たした
平井克典の名が。その他、2位は
中塚駿太、4位は
鈴木将平、6位は
田村伊知郎だったが指名6人中、3人がチームの中心選手となっており、大成功のドラフトだったと言える。
北海道日本ハムファイターズ
「2016年ドラフト指名組」は一軍で飛躍している選手が目立つ。まずは1位の
広島新庄高出身の堀瑞輝。高卒1年目から一軍デビューを果たし2019年には救援投手として台頭。今季は勝利の方程式を担う左の中継ぎエースに成長した。大学、社会人を経て8位の
玉井大翔も出世組。19年には65試合に登板し20年も右の中継ぎエースとしてフル回転した。野手では早大から2位の
石井一成が今季は遊撃のレギュラーを獲得。楽天・
田中将大の日本球界復帰戦で先制本塁打も放っている。7位の
郡拓也も捕手登録ながら内外野も守れるユーティリティーとして一軍で存在感を見せる。9位の
今井順之助は一軍昇格を狙う。8人中3人は戦力外通告を受け
高山優希は育成契約になっている。
写真=BBM