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大阪桐蔭が独走? シード制導入の影響は? 高校野球大阪大会の上位進出校を占う

 

今年から導入されるシード制


2019年の夏は、履正社が大阪大会を制し、そのまま甲子園の頂点まで駆け上がったが、さて今年は?


 2年ぶりに開催となる夏の甲子園をかけた高校野球の地方大会は、全国で次々と戦いの火ぶたが切られているが、167チームが参加、全国屈指の激戦区である大阪大会も、いよいよ7月16日に幕を開ける。全国49地区で唯一、昨年までノーシードで戦いが展開されていた大阪だが、今年からシード制を導入することになった。今春の近畿大会を制した大阪桐蔭優位の声がもっぱらだが、波乱はあるのか? そしてシード制はどう影響するのか? 組み合わせを見ながら、上位進出校を占ってみたい。

 まずは、今年から導入されるシード制を確認しておこう。シードされるのは、春の大会で16強以上に入った16チーム。大阪では、夏の大会はまず北地区と南地区に分けて3回戦までの組み合わせ抽選が行われ(このときに、北地区で16、南地区で16と、計32個の山型ができる)、そのあと4回戦と5回戦の組み合わせを再抽選、さらに準々決勝以降の組み合わせを抽選と、3度にわたって抽選が行われる。シード校は、最初の3回戦までの抽選の際、1つの山につき1校、2回戦から登場するところに割り振られる。今年はシード校は北地区7、南地区9チームとなったので、北地区ではシード校の入った3回戦までの山が7つ、そうでない山が9つでき、南地区ではその逆になる。4回戦以降の2度の抽選はフリー抽選だ。

 こういった方式のため、シード校のメリットは、3回戦までシード校同士の対戦がないことと、2回戦から登場できること、という程度で、それほど大きいメリットがあるとは言えない(もちろん、シード校内での「第1シード」、「第2シード」などといった序列もない)。むしろ、今年なら昨秋府大会4強の履正社や山田がそれにあたるが、シードから漏れた有力校がどの山に入るか、が焦点と言えそうだ。

北地区展望


 ではまず北地区から4回戦に進出しそうなチームを展望してみよう。本命の大阪桐蔭は、順当なら初戦で大阪学院大高、続く3回戦では、4年前に決勝で激戦を戦った大冠が相手になる可能性がある。波乱の目がどこまであるかは分からないが、大会序盤はエース級の投手を温存、ということがやりづらい相手になったことは確かだ。北地区は、残る6つのシード校も、それぞれ強敵を同じ山の中に抱えることになった。好投手の長友一夢を要する大阪の山には、昨秋履正社を破って話題を呼んだ山田が入った。東海大大阪仰星は、初戦から大産大附と東淀川の勝者と対戦。箕面学園は関西創価、北野、同志社香里が同じ山にいて、関大北陽も槻の木、寝屋川といった実力校が同ブロックだ。早稲田摂陵は、関大一のほか、追手門学院、星翔がいる。桜宮も昨秋、今春と好成績の千里が相手になる可能性があり、シード校のうちいくつかは4回戦に勝ち残れなくても不思議ではない。

 今夏はノーシードとなり、組み合わせが注目された履正社は、シード校のいない山に入った。初戦は伝統校の市岡と対戦するが、大会序盤で波乱の可能性はそれほど高いとは言えないか。その他の北地区のシード校のいない山では、関西大倉、英真学園、香里丘が4回戦進出有力。東と春日丘、金光大阪と汎愛、太成学院大高と常翔学園のいる山は2強激突の気配だ。秋春3回戦進出の千里青雲と昨秋に大阪偕星学園を倒している池田がいる山は三島もいて混戦模様。渋谷、桜塚、豊島、大阪電通大高、牧野の山はどこが勝ち残ってもおかしくない。

南地区展望


 続いて南地区。9つのシード校のうち、波乱の目が少なそうなのが東大阪大柏原と八尾だ。この2校は比較的すんなり勝ち上がる可能性が高い。大塚は初戦で当たる可能性がある大阪学芸は少し嫌だが、そこを抜ければ4回戦進出濃厚か。大商大高も順当ならいきなり初芝立命館と戦うことになる可能性があり、初戦がヤマ場だ。興國は上位常連の大商大堺と、大体大浪商は上宮あるいは泉尾工と、近大附は近大泉州と3回戦で顔が合う可能性が高く、そこが勝負どころとなりそうだ。富田林は泉大津、生野といった実力校が同じ山にいて気が抜けない。堺は初戦で昨秋汎愛を相手に接戦を展開した精華と、そこを抜けても3回戦で上宮太子と対戦する可能性が高く、シード校ながら厳しい組み合わせとなった。

 シード校の入っていない山では、阪南大高、信太、浪速が入った山がハイレベル。さらに、東住吉、金光八尾、懐風館、日新、城東工科の山は実力伯仲でまったく予想がつかない。岸和田、布施工科、大阪星光学院の山も力が接近しており見通しづらい。鳳と桃山学院の山はその2校の激突という様相か。2015年に甲子園出場した大阪偕星学園は初戦の三国丘戦を抜ければ4回戦進出有望。そのほかでは堺西、岸和田産が4回戦進出有力と見る。

 総合的な戦力では大阪桐蔭の優位は動かないが、各校にとっては昨年夏の甲子園への道を断念せざるを得なかった先輩の思いも背負って戦う「2年分の夏」。勝つにせよ負けるにせよ、悔いのない戦いを展開してもらいたい。

文=藤本泰祐 写真=BBM
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