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DeNA・佐野恵太は2年連続首位打者なるか?「鈴木尚典を彷彿とさせる」の声が

 

広いヒットゾーン



 昨季首位打者に輝いたDeNA・佐野恵太は2年連続タイトル獲得に向け、視界良好だ。前半戦を終えてリーグトップの打率.328、8本塁打、34打点。この数字に驚く野球ファンは少ないだろう。「安打製造機」としての座を確立している。

 他球団のスコアラーは佐野の打撃技術についてこう分析する。

「一言で言うと穴がない。特に内角の難しいコースをさばく技術は天才的なモノがある。あれはなかなかマネできないです。緩急に対してもきっちり対応できるし、ヒットゾーンが広い。打撃スタイルが同じ左打者の鈴木尚典さん(元横浜)を彷彿とさせますよね。故障がない限り大崩れせずに打ち続けるでしょう」

 佐野の野球人生が大きく変わったのは昨年だった。前年の2019年は89試合出場で打率.295、5本塁打、33打点。非凡な打撃センスを発揮していたが、先発出場は45試合と途中出場が多かった。しかし、四番で主将だった筒香嘉智(現ドジャース傘下所属)が同年オフにレイズに移籍すると、ラミレス監督は佐野を次期主将に据え、「四番・左翼」と筒香のポジションをそのまま委ねた。

 この大抜擢に、「荷が重いのでは」と懐疑的な見方が多かったが、佐野は見事に期待に応えた。新型コロナウイルスの影響により120試合制で開催された中、打率.328、20本塁打、69打点をマーク。初の規定打席に到達したプロ4年目のシーズンで首位打者を獲得した。

 佐野は週刊ベースボールのインタビューで、「体を使ってバットを“煽(あお)る”ようにスイングするのではなく、ホームランを意識せずに、自分のスイングができたという点が良かったと思っています。大きいのを狙いにいってしまうと僕はスイングするときに体が“潜り”過ぎて、バットが下から出てしまう傾向にあるので、そこが良かったのかなと」と好調を継続できた要因を分析している。

 ラミレス監督からの助言についても言及し、「毎日のようにアドバイスをしてもらっていました。それは監督としてもそうだし、1人の打者としても声を掛けてもらっていました。ラミレス監督は長い間、四番を務め、何年も連続で打点王になってきた実績のある方です。本当に1年間で数え切れないほどのアドバイスをもらいました」「(印象に残った助言は)『打撃練習でも甘いボールが来たら、スタンドインするようにしなさい』という言葉です。試合ではホームランを狙って打席には立たないですけど、打撃練習では甘いボールが来たら、しっかり自分のスイングができるようにと。そういう言葉をかけてもらったからこそ、ホームランが20本打てたのかなと感じています」と感謝を口にしている。

主将としてチームのために


バッティングはプロで驚くべき成長を見せた


 明大では六大学通算打率.270、6本塁打。本職が一塁だったこともあり、ドラフト9位で入団。支配下登録の指名で87人中84番目、セ・リーグでは最後の指名だった。「打撃は良いと思ったけど、ここまで活躍するとは」と驚くアマチュア関係者は多い。

 素朴で明るい佐野はチームメートからの人望が厚い。試合前のミーティングで雑学などのネタを披露し和ませてきたムードメーカーだ。チームを背負う主力としての自覚も芽生えている。昨年は9月初旬に5.5ゲーム差の2位で迎えた首位・巨人との3連戦を自然体で臨もうと考え、チームを鼓舞するようなミーティングは行わなかった。しかし、結果は同一カード3連敗。「主将としてアクションを起こさなかったことがすごく後悔。結果が変わったかは分からないが、今季は迷ったら全部を行動に移す」とリーダーとしての自覚を口にする。

 ハイアベレージをキープする佐野とは対照的に、チームは前半戦苦しんだ。春先に大きくつまずいたのが響き、借金13の最下位に低迷している。責任感の強い佐野も思うところがあるだろう。巻き返しを狙う後半戦。白星を重ねるため打ち続ける。

写真=BBM
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