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今季NPB史上初の出来事が生まれるか? 実は非常にレア…「盗塁ゼロ」の首位打者

 

現在、打率ランキングでトップの佐野恵太(DeNA)と吉田正尚(オリックス)だが、ここまで盗塁数はともに「ゼロ」。打撃力を武器に活躍する選手はあまり走らないものだが、それでも盗塁ゼロは珍しい。実際、セ・パの打率Top5を見ると、佐野と吉田以外は盗塁を記録。ゼラス・ウィーラータイラー・オースティンといった、パワー型の助っ人でさえも盗塁をしている。このまま一度も盗塁することなく首位打者になった場合は、「盗塁ゼロの首位打者」の誕生となるが、過去に同様のケースはあるのだろうか?

過去には4人が「盗塁ゼロ」で


2012年に「盗塁ゼロの首位打者」となった巨人・阿部。史上2人目だった


 2リーグ制となった1950年以降の首位打者を調べたところ、野村克也ランディ・バーストーマス・オマリーといった、高い走力を持たない首位打者もシーズン中に1度は盗塁を記録している。そんな中で、シーズンを通して一度も盗塁をしなかった首位打者は以下の4人だ。

福浦和也(ロッテ/2001年首位打者)
阿部慎之助(巨人/2012年首位打者)
宮崎敏郎(DeNA/2017年首位打者)
・佐野恵太(DeNA/2020年首位打者)

 NPB史上初めて「盗塁ゼロ」で首位打者になったのが2001年の福浦だ。この年は主に三番を任されており、シーズンを通して打棒を発揮。そこまで盗塁が求められるポジションではなかったが、結局一度も盗塁することなくシーズンを終えた。次に「盗塁ゼロの首位打者」になったのが阿部。阿部はそもそも盗塁をしない選手。通算盗塁も13と少なく、首位打者になった年だけでなく翌シーズンも盗塁を記録していない。

 宮崎は史上3人目の「盗塁ゼロの首位打者」ではあるが、それ以上にすごい唯一の記録を持っている。それが「通算盗塁ゼロの首位打者」だ。福浦や阿部は、首位打者になるまでに盗塁を記録したことがあったが、宮崎は「通算盗塁」がゼロの状態で首位打者になった。これはNPB初の珍記録。宮崎は以降も盗塁は記録しておらず、2021年7月15日時点で780試合に出場して盗塁はゼロ。これだけ活躍しながら通算盗塁ゼロというのは非常にレアなケースだ。

佐野は昨季も「盗塁ゼロ」


佐野は2年連続で「盗塁ゼロの首位打者」となるか


 盗塁ゼロで首位打者になった先輩に続いたのが同じDeNAの佐野。四番に抜擢された昨季はその期待に応えるように快音を響かせ、いきなり首位打者を獲得した。しかし、シーズンを通して一度も盗塁をすることはなかった。今季も現時点で盗塁ゼロ。2年連続、盗塁ゼロで首位打者になると史上初の快挙だ。

 先述のように、DeNAの佐野だけでなくパ・リーグで打率首位に立つオリックス・吉田正も現時点で盗塁はゼロ。吉田正は昨季も首位打者になっており、もし今季、佐野と吉田正が首位打者になれば、セ・パともに連続首位打者の誕生となる。さらに、どちらも盗塁ゼロで首位打者になれば、これはNPB史上初の出来事だ。

 果たしてセ・パともに「盗塁ゼロの首位打者」誕生という珍記録は生まれるのか。まだまだシーズンは長いが、今後「佐野と吉田正が盗塁するかどうか」にも注目してはいかがだろうか。

文=中田ボンベ@dcp 写真=BBM
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