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背番号物語

【背番号物語】DeNA「#2」レオン、内川聖一、牧秀悟…一般的なイメージと乖離した強打者の系譜

 

二番打者でもバントせず?


2年目の02年から移籍する10年まで横浜で「2」を背負った内川


 王貞治の「1」、長嶋茂雄の「3」に挟まれた巨人は象徴的だが、「2」には地味な雰囲気が漂っている。実際、いぶし銀タイプの選手が着けることが多く、古くから中軸を担う打者が着ける1ケタの背番号にしては強打者、長距離砲は少数派だ。ただ、そこはDeNA。系譜に頓着しないチームの背番号は、一定の傾向を示しても異色の物語を紡ぐのだろう。強打者の印象が強い「1」に並ぶのは中心選手ながら万能タイプが多いことは紹介したばかりだが、一般的には職人タイプが多数派の「2」にはクリーンアップを担うような強打者が並んでいる。

 ただ、系譜で最長の15年「2」を背負い続けたのは長距離砲タイプではない。ドラフト2位で1968年に入団した中塚政幸。長打を狙わず、長くリードオフマンとして打線を引っ張り、盗塁王も経験した巧打者で、ユニークなキャラクターでも人気を博した。中塚が在籍していた当時、チームは大洋だったが、中塚までの「2」は他のチームと変わらず職人タイプが並ぶ系譜。だが、「1」と同様に長続きした選手は少なく、60年に入団して新人ながらも遊撃のバックアップとして初のリーグ優勝、日本一に貢献した浜中祥和の5年間が最長だった。

 この傾向に変化の兆しが見え始めたのは82年。中塚が現役を引退し、ロッテから来たレオンが後継者となってからだ。在籍は3年間だけだが、クリーンアップを担って低迷するチームを支え、85年には高木豊加藤博一屋鋪要ら“スーパーカー・トリオ”の後を打つ四番打者を務めて、塁上を駆け回って相手バッテリーを撹乱するトリオに“撹乱”させられながらも(?)、31本塁打、110打点、打率.303をマークしている。

大洋の背番号「2」で強打を発揮したレオン


 これだけの成績を残しながら、なぜかオフに解雇されたレオンの後は、1年の欠番を挟んで西武から来た“一本足打法”の片平晋作、パンチ力は物足りなかったものの“こけしバット”の四番打者として暗黒期を支えた山崎賢一がリレー。94年に継承した波留敏夫もパンチ力を武器にする打者ではなかったが、攻守走にわたる“突貫小僧”ぶりで存在感を発揮した。“マシンガン打線”が猛威を振るった98年には「2」の二番打者に。「2」を着けた二番打者にはバントが多いイメージがあるが、波留はバントをしない攻撃的な二番打者として“マシンガン打線”を象徴する存在に。西武との日本シリーズでも、わずか5安打ながら3打点を稼ぐ離れ業を見せた。

 この波留が21世紀に入って「1」となり、20世紀の最後に「37」で首位打者となった金城龍彦が「2」に。波留の移籍で金城が1年で「1」となった2002年に「25」から「2」へと変更したのが、ドラフト1位で入団してプロ2年目を迎える内川聖一(ヤクルト)だった。

進化していく強打


 故障が多く、なかなかシーズンを通して活躍できなかった内川だが、04年には94試合の出場、97安打ながら17本塁打。08年にはリーグ最多の189安打を放ち、打率.378で首位打者に。「2」から「1」の“玉突き”のようにして「2」を継承した内川だが、FAで移籍したソフトバンクで「24」を挟んで「1」を着けている。

 内川の移籍で楽天から来た渡辺直人が11年に後継者となったことで、「2」は職人タイプの系譜に戻りかけたが、渡辺は13年シーズン途中に西武へ。1年の欠番を経て、巨人から来たロペスが後継者となったことで、ふたたび「2」は迫力を増す。巨人では真価を発揮できなかったロペスも、DeNAの「2」で進化。不動の一塁手として17年に171安打、105打点で最多安打、打点王のタイトルを獲得して、20年にはプロ野球の助っ人としては初めて日米各1000安打も達成した。

現在はDeNAで新人の牧が「2」を背負う


 この21年に後継者となった牧秀悟も1年目から長打力を発揮している。中塚の登場までは地味な印象もあった「2」だが、着けた期間は短かったものの、52年からの2年間は“神主打法”の岩本義行が背負っていた。岩本は、のちに大洋と合併する松竹で50年にプロ野球で初めてトリプルスリーを達成したスラッガー。そのDNAは中塚やロペスらを経て、現役の牧にも受け継がれているはずだ。

【DeNA】主な背番号2の選手
中塚政幸(1968〜82)
波留敏夫(1994〜2000)
内川聖一(2002〜10)
ロペス(2015〜20)
牧秀悟(2021〜)

文=犬企画マンホール 写真=BBM
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