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前半戦で11死球の石川柊太はNPB最多を更新してしまうのか? 歴代最多死球記録とは

 


 ソフトバンクの石川柊太が、ここまで3勝8敗と苦しんでいる。今季は開幕投手を任されたが、6月に4連敗を喫するなど前半戦は厳しい結果に終わった。やはり課題は「制球力」か。昨季もリーグトップの12死球を記録したが、今季は前半戦だけですでに11死球。自己ワーストだけでなく、歴代最多記録を更新する可能性もある。では、「与死球」のシーズン最多記録は何個なのかご存じだろうか?
※成績は前半戦終了時

シーズン最多は22個


1968年にシーズン22死球を与えた森安


 以下に、シーズン与死球数のTOP10をまとめてみた。

●シーズン与死球歴代TOP10
第1位 22個 森安敏明(東映/1968年)
第2位 21個 ジェレミー・パウエル(近鉄/2002年)
第3位 20個 河原明(西鉄/1970年)
同3位 20個 村上雅則(南海/1972年)
同3位 20個 小林繁(阪神/1980年)
第6位 19個 秋山登(大洋/1956年)
同6位 19個 渋谷幸春(中日/1971年)
同6位 19個 河原明(西鉄/1972年)
同6位 19個 仁科時成(ロッテ/1979年)
第10位 18個 河原明(西鉄/1971年)
同10位 18個 高橋一三(日本ハム/1976年)
同10位 18個 仁科時成(ロッテ/1980年)
同10位 18個 仁科時成(ロッテ/1981年)
同10位 18個 深沢恵雄(ロッテ/1982年)
同10位 18個 ブライアン・バリントン(広島/2011年)

 NPB記録は、森安敏明が1968年に記録した22個。当時対戦した多くの打者が「球が速すぎる」と舌を巻いた剛速球のサイドスロー投手だ。球は速いが制球に難があり、その「荒れ具合」も大きな武器だった。しかし、打者に当ててしまうことも多く、NPB記録を樹立した1968年だけでなく、翌1969年も17死球を記録している。黒い霧事件により5年でプロ野球を去ったが、わずかな期間で通算66与死球とハイペースで死球を積み重ねた。

 森安に次ぐのは、近鉄で活躍した「JP」ことジェレミー・パウエルだ。2002年は17勝10敗で最多勝と最多奪三振のタイトルを獲得したが、同時にリーグ最多、NPB歴代2位となる21与死球を記録した。パウエルは2002年だけでなく、2003年、2005年、2006年と計4度のリーグ最多与死球をマーク。強気のピッチングが持ち味の助っ人だった。

 歴代TOP10に最も多く名前を残しているのが、ロッテで活躍した仁科時成。シーズン最多与死球を5度記録しており、通算142与死球はNPB歴代5位だ。ちなみに、仁科は9回裏二死からノーヒットノーランを2度逃している。これはNPBでは仁科と西口文也しか記録していない、不運かつレアな記録でもある。

 また、2000年以降の記録でTOP10に入っているのは、パウエルとブライアン・バリントンの助っ人2人のみ。もし、石川が今季18以上の与死球を記録すれば、2000年以降では3人目、日本人投手では2000年以降初めての歴代10傑入りとなる。

歴代通算1位はケンカ投法の元西武のエース


通算165死球の東尾が歴代トップだ


 シーズン記録ではなく、通算記録では以下のようになっている。

●通算与死球数TOP10
第1位 東尾修 165与死球
第2位 渡辺秀武 144与死球
第3位 坂井勝二 143与死球
第3位 米田哲也 143与死球
第5位 仁科時成 142与死球
第6位 山田久志 135与死球
第7位 足立光宏 130与死球
第8位 村田兆治 124与死球
第9位 佐々木宏一郎 122与死球
第10位 平松政次 120与死球

 歴代最多は「ケンカ投法」で有名な東尾。並み居る強打者を抑えるため、臆することなく内角を鋭く突く投球を続けたことで、死球の数も多くなった。しかし、シーズン最多与死球は16が最多で、先ほど紹介した「シーズン与死球TOP10」には入っていない。

 歴代ではなく、「現役」では楽天に所属する涌井秀章の106が最多。2位は阪神の中田賢一で89、3位が同じく阪神の西勇輝で87与死球となっている。今季11与死球のソフトバンクの石川は、通算43与死球で現役18位。しかし、投球回は441.2で涌井のおよそ6分の1(涌井は2534)。にもかかわらず、すでに43与死球と相当なハイペースで死球を増やしている。

 ソフトバンクの石川は、果たして与死球の歴代記録を更新してしまうのだろうか。チームも今季は先発陣の不調もあり、なかなか調子の上がらない厳しいシーズンとなっている。上位進出のためにも、石川の復活に期待したい。

文=中田ボンベ@dcp 写真=BBM
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