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高校野球リポート

明徳義塾・代木、高知・森木のラストマッチ。最後の夏、軍配が上がったのは明徳義塾だった

 

対戦成績は2勝2敗1分


高知高の154キロ右腕・森木大智は明徳義塾高との県大会決勝で敗退(3対5)。試合後は相手の左腕エース・代木大和(背番号1)と健闘をたたえ合った


 明徳義塾高と高知高。高知県の高校野球をけん引しているライバル校同士だ。

 明徳義塾高の左腕・代木大和(3年)と高知高の154キロ右腕・森木大智(3年)によるラストマッチ(決勝、7月28日、春野)は5対3。代木に軍配が上がった。明徳義塾高は2大会連続21回目の甲子園出場を決めている。

 今夏の決勝を迎えるまで、昨秋の新チーム以降の対戦成績は、2勝2敗1分だった。

▼8月29日 県選抜大会決勝
高知1−0明徳義塾
▼10月11日 県大会決勝
高知1(12)1明徳義塾
▼10月13日 県大会決勝(再試合)
明徳義塾6−0高知
▼4月11日 県順位決定戦
明徳義塾2(13)1高知
▼5月1日 四国大会決勝
高知6−2明徳義塾
※()数字は延長回数

 昨年8月の県選抜大会は新人戦の扱い。秋の県大会のシード校を決める位置づけであり、高知高が1対0で勝利した。

 今春のセンバツをかけた昨秋の県大会決勝。四国大会の県出場枠は「2」。両校はすでに準決勝勝利で四国大会への進出を決めていた。森木と代木の投げ合いは、延長12回で決着がつかず、日没コールド(1対1)となった。森木は170球、代木は193球と譲らない。中1日の決勝で、森木は登板回避。先発の代木は106球を投げ、完封(6対0)している。

 昨秋の四国大会を制した明徳義塾高は、今春のセンバツに出場(1回戦敗退)。同大会出場校は、春の県大会は出場せず、高知高が県制覇を遂げた。春季四国大会を前にした県順位決定戦(チャレンジマッチ)で、高知高は延長13回タイブレークで惜敗(1対2)した。7回途中から救援した森木は敗戦投手となった一方で、代木の登板はなかった(代打出場)。

高かった明徳義塾の壁


 四国大会決勝では高知高が6対1とリードして、9回表の守りを迎えた。高知高の先発・杉村優妃(3年)から、5回途中に救援した左腕・高橋克弥(3年)が連続四球と左前打で無死満塁。この場面で濱口佳久監督は左翼を守っていた森木をマウンドへ行かせた。二ゴロの間に1失点も、後続2人を抑えた。自己最速を2キロ更新する154キロをマークし、5年ぶり11度目の四国大会優勝へ導いている。

 濱口監督は森木を起用した理由について、こう語っていた。

「夏と春では、違います。(森木を)隠すこともない。多くの打席を見せるのは、別ですが……。実際に相手の動き、反応を探ることができた。代木君は秋以降、見ていませんが、対戦機会があれば、逆にフレッシュな気持ちで臨めるので、楽しみです」

 対照的に、明徳義塾高はこの試合も代木を登板させず、手の内を見せない作戦に出た。つまり、甲子園をかけたゲーム以外は起用しない徹底ぶりである。馬淵史郎監督はこの1年をかけて、この夏の一戦ために、森木対策を積んできたという。その成果を、ラストマッチで存分に発揮。5対3で勝利し、2大会連続での甲子園出場を決めている。

 高知高は2点を追う8回裏に追いついた(2対2)ものの、森木は9回表に制球を乱して降板。救援投手が3点の勝ち越し(5対2)を許した。9回裏に1点を返したものの、森木はネクストサークルで幕切れを迎えている。

 整列後、2人は本塁付近で健闘をたたえ合った。すでに、森木は大粒の涙。代木も誘われるように男泣き。お互いに実力を認め合う、2人にしか分からない空気が流れていた。森木は高知中時代に軟式球で150キロを計測し、注目を集めた。しかし、この3年間で、甲子園の土を踏むことはできなかった。最後の夏、宿敵・明徳義塾高の壁は高かった。

文=岡本朋祐 写真=梅原沙織
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