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ついに覚醒か…ソフトバンク・田中正義に「見違えるほど良くなっている」と驚きの声

 

変化球の精度が向上



 5年連続日本一を目指すソフトバンクは、前半戦を終えて37勝37敗14分の4位。なかなか調子が上がらず苦しんだが、首位・オリックスと4ゲーム差につけている。勝負どころを知っている選手が多いだけに、混戦のパ・リーグをうまく抜け出したい。その中で、「新戦力」として大きな期待がかかるのが、プロ5年目のドラフト1位右腕・田中正義だ。今季は開幕を二軍で迎えたが、6月25日に一軍昇格すると、救援で4試合登板して防御率1.93をマークしている。

「制球が見違えるほど良くなりましたね。以前は制球が定まらず、変化球の精度が低かったのでカウントを苦しくして直球を狙い打ちされていましたが、フォームのバランスが良くなり、スライダー、フォークで空振りを取れるようになった。直球が常時150キロを超える直球なので、こうなるとなかなか攻略が難しくなる」(他球団のスコアラー)

 田中は球界を代表する右腕として将来を嘱望されていた。創価大3年時にユニバーシアード代表でNPB選抜を相手に7者連続三振の快投。最速156キロの直球とスライダー、フォークにバットが空を切る。バックネット裏のスカウトたちは「モノが違う」、「1年目から2ケタ勝てる」と絶賛していた。

 5球団が競合の末、希望球団のソフトバンクに入団したが、右肩痛、右ヒジ痛と度重なる故障に悩まされる。1年目の17年は一軍登板機会なしに終わり、二軍でも1試合登板のみ。18年は10試合登板したが0勝1敗、防御率8.56。19年も1位試合の登板のみに終わり、「丸3年、まったく結果が出ていない。ドラフト1位じゃなければ、もしかしたら(戦力外だった)というのは正直感じている」と危機感を露わにしていた。

 殻を破りたいと、19年オフにプエルトリコのウインター・リーグに参加。6試合登板で2勝1敗、防御率1.80と好成績を残し、外国人選手が必至にアピールする姿に、「周りの目を気にしないことも大事」と精神面でも変化が見られた。2月の春季キャンプ序盤に右ヒジの張りで戦線離脱し、昨年も一軍登板なしと結果を残せなかったが。崖っぷちで光が見えた。11月1日の阪神とのウエスタン・リーグ最終戦(タマスタ筑後)では自己最速タイの156キロを計測。7日のファーム日本選手権(ひなたサンマリンスタジアム宮崎)でも最速153キロで1回1無失点ときっちり抑え、「かなり手応えのあるボールも増えているので、来年につながることは間違いないと思っています」と手応えを口にしていた。

同期のドラフト1位が刺激に!?



 マウンド上の田中の表情を見ると吹っ切れたようにも見える。ピンチの場面で動じることなく、制球面で崩れる以前の姿はない。同期のドラフト1位で大学時代にともに注目されていたロッテ・佐々木千隼の活躍も大きな刺激になるだろう。田中と同様にプロに入団後は伸び悩んでいたが、今季はセットアッパーで31試合登板し、4勝0敗1セーブ12ホールド、防御率1.06と大活躍。球宴にも初出場を果たすなど覚醒の時を迎えている。田中も投手としての才能は稀有なものがある。後半戦は救援に不可欠な存在として三振の山を築く。

写真=BBM
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