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今季の移籍選手はどうなる!? 大田泰示、涌井秀章…過去10年のトレード成功例は?

 


 前半戦を終えて、セ・リーグの打率ランキング2位につけているのが巨人のゼラス・ウィーラーだ。昨季、楽天からトレードで加入し、巨人2年目の今季は持ち前の打撃でチームをけん引している。巨人からすると「トレード大成功」といえるだろう。では、ウィーラーのように、トレード先で活躍した選手といえば誰だろうか? 今回は、2011年以降の「トレード成功例」をピックアップしてみた。
※人的補償による移籍を除く

新天地で積極的な打撃を取り戻した大田



●大田泰示(巨人 ⇒ 日本ハム)

 新天地で大きく才能を開花させた選手といえば、やはり大田だ。2009年ドラフト1位で巨人に入団し、松井秀喜以来となる「背番号55」を与えられるなどチームの期待は大きかったが何年も「今一歩」の状況が続いていた。しかし、2016年オフに日本ハムへとトレードで移籍すると、これまでとは別人のように活躍。いきなりレギュラーに定着し、巨人時代の通算本塁打9本を超える15ホーマーをたった1年で放つなど、新天地で大きな飛躍を遂げた。

公文克彦(巨人 ⇒ 日本ハム)

 2013年ドラフト4位で巨人に入団した公文は、入団から4年間は目立った成績が残せなかった。そのため、2016年オフに大田泰示とともに2対2のトレードで日本ハムに移籍。巨人ではまったく結果が残せなかった公文だが、日本ハムでは移籍1年目にいきなり41試合に登板し、3勝0敗、防御率2.70と活躍。翌2018年は57試合、2019年は61試合と登板数を増やし、中継ぎの要へと成長した。特に2019年は「公式戦デビューから165試合無敗」という大記録も樹立。日本ハムにとっては、投打の主力となる選手を獲得できた「大成功」のトレードだったといえる。

近藤一樹(オリックスヤクルト)

 昨季限りでヤクルトを退団し、現在は独立リーグでプレーする近藤もトレードをきっかけに飛躍した選手。オリックスで先発投手としてマウンドに上がっていた近藤は、右ヒジのケガなどもあり、2011年以降は思うようなピッチングができなかった。そのため、2016年シーズン中にヤクルトへトレードで移籍。新天地のヤクルトでは2017年から中継ぎに定着し、その年は54試合、翌2018年は74試合に登板するなど、チームに欠かせない存在となった。

涌井もトレードを機に復活


楽天・涌井秀章


●涌井秀章(ロッテ ⇒ 楽天)

 最近の例でいえば、2019年オフにロッテから楽天に金銭トレードした涌井も「成功例」だろう。西武で最多勝2回、FA移籍したロッテでも最多勝を獲得するなど2球団でエースだったが、2017年以降は成績が下降。3年連続で負け越しと、このまま復活できないのではと思われるほど調子を落とした。しかし、楽天加入1年目の2020年は開幕6連勝を記録。これまでの鬱憤を晴らすように好投を見せ、最終的にリーグ最多の11勝をマーク。NPB史上初の「3球団での最多勝」も成し遂げ、見事な復活を見せた。

菊池保則(楽天 ⇒ 広島)

 広島の菊池保則は、2018年オフに楽天からトレードで移籍した選手だ。楽天ではもともと先発投手だったが、大事な場面で崩れることも多かった。さらには肩の負傷もあって低迷。移籍する2018年はわずか3試合の登板に終わるが、移籍1年目の2019年は中継ぎとして58試合に登板。防御率2.80、15ホールドと、水を得た魚のようにハツラツとしたピッチングを披露した。今季は思うような投球ができず苦しんでいるが、チームの上位進出のためにも復調が望まれる。

エドウィン・エスコバー(日本ハム ⇒ DeNA)

 ウィーラーのように、トレードで移籍した外国人助っ人で「活躍している選手」は少ない。「貴重な存在」のひとりがDeNAのエスコバーだ。元は2017年に日本ハムが獲得した助っ人で、その年の7月までに14試合で起用され、1勝2敗、防御率という数字を残した。しかし、7月にトレードでDeNAへと放出。期待できる選手であったが、外国人枠の問題もあり、出場機会を与えるための「仕方ないトレード」だったという。かくして加入半年で移籍することになったエスコバーだが、新天地では2019年に74登板を記録するなど中継ぎとして活躍。歴代の「中継ぎ助っ人」の中でもトップクラスの成績を残している。

 トレードを機に新天地で活躍した「成功例」をピックアップしてみた。今シーズンも炭谷銀仁朗(巨人から楽天に金銭トレードで移籍)をはじめ、12人の選手がトレードで活躍の場を移している(2021年7月29日時点)。果たしてこの中から、大田や公文らのような選手は出てくるのか、まずは後半戦の戦いに注目だ。

文=中田ボンベ@dcp 写真=BBM
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