現在、東京オリンピック開催中のためプロ野球のペナントレースは中断中でエキシビションマッチが開催されている。後半戦は8月13日からスタートするが、残りは60試合程度。優勝、そしてクライマックスシリーズ進出へ向け、一戦一戦の重要度は増すが、果たしてセ・リーグ各球団が浮上するためのポイントはどういった点にあるのだろうか。 記録は前半戦終了時 阪神タイガース
1位・阪神
84試合、48勝33敗3分、勝率.593
2位・
巨人と2ゲーム差を保って前半戦を終えた阪神。最後まで首位を守り抜くためにはやはり、四番の得点力アップが不可欠になってくる。開幕から主に四番を務める大山悠輔が後半戦もその座を担う。主将と主砲という重圧の中、ケガや不振でなかなか本来の姿が見られなかった。10本塁打は放ったが、打率.245は少し寂しい。さらに得点圏打率.213は四番としては物足りない。周りを固める三番・マルテが得点圏打率.338、
サンズも.333。それにチーム2冠(20本塁打、52打点)の
佐藤輝明が前半戦の打線を支えた。後半戦に入って大山がこの3人のような活躍ができれば、巨人の猛追を振り払い、16年ぶりの歓喜が見えてくる。
読売ジャイアンツ
2位・巨人
85試合、43勝32敗10分、勝率.573
キャプテンとして初めてリーグ優勝を果たした2020年も、連覇となった昨季も、坂本勇人は「強さを感じていない。投手に助けられてばかりの優勝」と手厳しかった。今季は前半戦終了時点で首位の阪神と2ゲーム差の2位。故障や新型コロナウイルス感染など、やむを得ない事情があるにせよ、野手を中心に主力がこぞって戦線離脱を繰り返した影響は小さくない。その意味でも、後半戦は「圧倒的な強さで3連覇をしたい。そのためにも、僕もすごくいい成績を残さないといけない」と自らにも高いハードルを設定するキャプテンが中心の打線に注目。前半戦、打点、本塁打でリーグトップの
岡本和真に、いかに良い状況で打席を回すことができるか。ケガ人の復帰状況次第ではあるが、ベストメンバーで組む巨人打線の破壊力はいかに。
東京ヤクルトスワローズ
3位・ヤクルト
83試合、42勝32敗9分、勝率.568
ここまでヤクルトがAクラスをキープできた要因は、故障者や離脱者が出ても、それを補える存在が台頭してきたことだろう。誰かが不調に陥っても、それをカバーする新戦力が必ず現れた。エキシビションマッチでは、ドライチルーキーの
木澤尚文をはじめ、前半戦に出場機会のなかった選手にチャンスが与えられた。
坂口智隆らも死にもの狂いで結果にこだわるはずで、後半戦はよりチーム内競争が激化するに違いない。後半戦のスパートへ向けては、チームの雰囲気も良くあまり不安要素はないが、前半戦は対阪神3勝10敗2分、対巨人4勝7敗1分と、上位陣に大きく負け越したことが懸念材料か。対巨人打率.391、6本塁打の
村上宗隆や、対阪神打率.310の
元山飛優、同.302の
中村悠平ら下位打線の力で、直接対決をものにしていきたい。
中日ドラゴンズ
4位・中日
86試合、32勝42敗12分、勝率.432
最重要ポイントは間違いなく打線だろう。前半戦はリーグトップの防御率3.31で自慢の投手陣が奮闘したものの、リーグ最下位の得点力不足が大きく足を引っ張り、借金10の4位。勝負に「たられば」はないが、打線がもう少し機能していれば、これほど低迷することはなかったはずだ。しかしそれでも、後半戦浮上のポイントは打線ではなく、あえて投手陣としたい。その中でもエースの大野雄大だ。昨年の沢村賞男、中日から唯一の日本五輪代表選手が前半戦3勝7敗は、あまりにも寂しい。昨年チームが8年ぶりのAクラスに入ることできたのは、間違いなく大野雄の快投があったからこそ。エースが覚醒すればチームは必ず勢いづく。大野雄の復調が後半戦のカギを握ると言えるだろう。
広島東洋カープ
5位・広島
82試合、30勝42敗10分、勝率.417
前半戦はコロナ禍もあり、5位に終わった広島だが、前半戦の最後は4連勝で締めており、今季出てきた若い力とこれまでの戦力がかみ合えば、勝ち越していける力はあることが証明された。後半戦は、柱となる選手の働きが落ちないことを前提に、今季出てきた若手選手が好調を維持して戦い続けられるかがカギになる。投手では、
大瀬良大地、
九里亜蓮、
森下暢仁の先発三本柱と抑えの
栗林良吏の働きは必須とした上で、
大道温貴、
玉村昇悟がどこまで勝利につながる投球ができるか。打線では
鈴木誠也、
菊池涼介、
西川龍馬の働きは必須として、小園海斗、
林晃汰の若手選手と、一番に入る
野間峻祥がどこまで好調を維持できるかにかかってくるだろう。
横浜DeNAベイスターズ
6位・DeNA
88試合、31勝44敗11分、勝率.413
チーム打率リーグトップタイにもかかわらず、借金13を抱えて最下位に沈んだ最大の理由は先発投手の不振だ。先発防御率4.95はリーグワースト。ここを立て直さない限り浮上はない。幸いにも、出遅れていたエース・今永昇太の合流もあり、先発は復調傾向にある。今永、
濱口遥大、
大貫晋一、
阪口皓亮はある程度計算が立ち、
上茶谷大河、
坂本裕哉、
ロメロが続く。さらに、後半からは
石田健大の2年ぶりの先発復帰も決まっており、上がり目は十分にある。一つひとつ借金を返済し、来季につながる後半戦としたい。
写真=BBM