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背番号物語

【背番号物語】DeNA「#26」“大洋打線の象徴”田代富雄。「この番号で終わろうと決めていた」佐伯貴弘も

 

豪快さと、もろさ


豪快な一発が魅力だった田代


 ドラフト1位で2017年に入団し、現在までDeNAの「26」を背負い続けているのは左腕の濱口遥大。1年目から10勝を挙げて即戦力となり、新人王こそ逃したものの新人特別賞を贈られて、その後も先発の一角としてチームに貢献している。

 一般的に「26」は投手が優勢の背番号で、濱口が入団した17年には、現在は西武でプレーしている内海哲也巨人で着けており、古くは阪神のエースとなって以降、チームと背番号を渡り歩いた江夏豊が唯一、広島日本ハムの2チームで着けたナンバーでもあることから、左腕の印象が強い背番号といえそうだ。

 ただ、DeNAの「26」は古くから異彩を放っていた。打線の中軸を担う好打者は1ケタの背番号を着けることが多かった時代、起源の大洋から長く打線の中心で輝いていたのが「26」だったのだ。

 最長の19年間、「26」を背負い続けたのが田代富雄。近年は指導者としての評価も高めている田代だが、優勝とは無縁だった時期の大洋で「26」を背負い、打線の象徴というだけでなく、その打撃は当時の大洋が醸していた雰囲気をも象徴していた長距離砲だった。1年目の1973年から「26」を与えられた田代だが、一軍デビューは76年。翌77年にレギュラー定着、開幕戦から本塁打を放つと、その3日後から5試合連続本塁打、最終的には全試合に出場して35本塁打を放ってブレークする。

 だが一方で、リーグ最多の118三振という、まさに“本塁打か三振か”という打撃。79年には開幕戦で3連発もシーズンでは19本塁打にとどまり、翌80年に自己最多の36本塁打、その翌81年も30本塁打を放つなど、86年まで10年連続2ケタ本塁打も、最後まで打撃タイトルとは無縁のまま、その一方でリーグ最多三振は3度を数える。86年からは控えが中心となりながらも、引退試合となった91年10月10日の阪神戦ダブルヘッダー第2試合(横浜)で迎えた最後の打席で満塁本塁打を放って有終の美を飾った。

 豪快さと、もろさ。すさまじい飛距離の豪快な本塁打を量産した一方で、あっさりと三振に倒れる、それでも最後の最後で満塁本塁打を放ってみせるなど、連勝したと思えば、それ以上の連敗を喫するなど、強いようで弱い(?)大洋のイメージを踏襲するかのようでもあった。ちなみに、田代は「26」の5代目で、「26」という背番号としては人数が少ない。

2人のV戦士


“天秤棒打法”の近藤も「26」を着けた


「26」の初代は大洋がプロ野球に参加した50年から54年まで背負った宮崎剛。三塁手、二塁手として低迷するチームを支えた功労者で、そこから捕手の一柳忠尚が2年、外野手の大石幸夫が1年、そして58年に「26」を背負った新人が、外野手の近藤和彦だった。近藤は60年に一塁へ回り、主に三番打者として初のリーグ優勝、日本一に貢献。寝かせたバットを高く上げて揺らしながらタイミングを取る“天秤棒打法”を自身の象徴とする近藤だが、73年に移籍した近鉄で引退するまで一貫して「26」を背負い続けている。

マシンガン打線の一角として98年の優勝に貢献した佐伯


 田代の19年を経て92年に6代目となったのが助っ人のシーツで、100打点で打点王に輝くも1年で退団。チームが横浜ベイスターズとなった93年に7代目となった新人が外野手の佐伯貴弘で、98年には中根仁との併用で“マシンガン打線”の六番を打ってリーグ優勝、日本一の原動力となった。佐伯は近藤と同様、のちに一塁へ回り、駒田徳広の引退で2001年からは「10」となり、低迷期を四番打者として支えるが、自身の打撃も失速して、07年には「26」に原点回帰。「最後は、この番号で終わろうと決めていた」と背水の陣を敷くと、打率.302、16本塁打と復活した。だが、11年に中日へ移籍して、1年で引退。最後に着けたのは「7」で、「26」を貫くことはできなかった。

 佐伯が「10」になった01年シーズン途中に近鉄から来て「26」を背負った左腕の杉山賢人が投手の第1号。その後継者となった内野手の小田嶋正邦は「26」2年目の03年にチーム初の代打サヨナラ満塁弾を放っている。佐伯の移籍で「26」を継承したのがた外野手の井手正太郎。その引退で後継者となった濱口は投手、そして左腕の第2号となる。

【DeNA】主な背番号26の選手
宮崎剛(1950〜54)
近藤和彦(1958〜72)
田代富雄(1973〜91)
佐伯貴弘(1993〜2000、2007〜10)
濱口遥大(2017〜)

文=犬企画マンホール 写真=BBM
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