野球日本代表の金メダルを懸けたアメリカとの決勝戦が8月7日、横浜スタジアムで行われる。日本の先発は森下暢仁(
広島)。ルーキーイヤーの昨季は10勝3敗、防御率1.91で新人王を獲得した右腕が大一番を託される。
今季は開幕から
大瀬良大地、
九里亜蓮とともに先発投手陣の柱として君臨。チームがコロナ禍に見舞われた影響で、管轄保健所から自身も濃厚接触者と判定されたことで、約3週間にわたって戦線を離脱したこともあったが、安定感は健在だった。前半戦終了時点で13試合に投げ6勝4敗、防御率2.07。2年目のジンクスを感じさせない結果を残した。
森下の今季の投球に関して野球解説者の
達川光男氏は以下のように評している。
「昨年は少し力んで投げていた感じもありましたが、投げるときのバランスがすごく良くなっており、一番難しい右打者のインサイドにもコントロールよく投げられているのが目立ちます。今年は、すべてのボールを自由に操れていますね。ボールが安定してきたこともあり、カウントを取る球、空振りを狙う球と、1球1球のボールの意味も明確に考えて投げられています。また、『打ってこないだろう』というところでは軽くストライクを取ったり、ランナーが得点圏に行ったらしっかりギアを上げたりと、ピッチングのメリハリもつけられるようになり、いわゆる“勝てるピッチャー”の投球ができるようになっています」
東京五輪では7月31日、グループステージ第2戦のメキシコ戦(横浜)で先発。初回、4回に1点ずつ失うも、5回5安打2失点としっかり試合をつくり、勝利投手に輝いた。
野球解説者の
川口和久氏は「今回、1戦目のドミニカ共和国、メキシコとパワーヒッターがそろっていることもありますが、感じているのは、詰まらせる球はリスクがあるということです。バットが折れることなく、詰まりながらも外野の前まで運ばれてしまうことがある。逆に有効だなと思ったのが外の緩いチェンジアップ。大抵の打者が体を泳がせ、空振りや引っ掛けた凡打になっていました。緩急は森下の武器でもあるし、今回の大会のキーマンになるかもと思いました」と語っている。
果たして、森下は日本を金メダルに導くピッチングができるか。
写真=Getty Images