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2021夏の甲子園

「落ち着き」「対応力」「戦う姿勢」95年ぶりの優勝を狙う静岡に感じた3つの伝統の力【2021夏の甲子園】

 

甲子園を頭に入れた取り組み


夏の甲子園、8月9日の開会式は台風接近により、明日10日に順延された。各校はこの1日を有効活用した


 静岡高は2大会連続26回目の出場。静岡中時代の1926年に全国制覇を遂げ、60、73年に準優勝。春のセンバツも17回出場の名門校は今夏、95年ぶりの全国制覇を目指している。

 台風接近の影響により、新田高(愛媛)との1回戦は1日延期。8月10日は開会式後、第2試合に初戦が組まれている。9日は甲子園球場内にある室内練習場で2時間の調整。練習後の取材対応で、3つの伝統の力を感じた。

 一つ目は「落ち着き」である。

 今年4月から母校・静岡高を率いるのは池田新之介監督。静岡高では2年夏から控えの内野手でベンチ入りし、同秋からは主将で内、外野を守った。3年夏は二番・左翼も、甲子園の土を踏むことはできなかった。中京大では4年時に学生コーチを務め、2001年から静岡高の定時制に赴任し、03年夏の甲子園ではコーチとして帯同。その後、06〜12年までは焼津水産高、13年から20年まで島田商高で指導。18年夏は県準優勝、19年夏も4強と県上位常連のチームを作ってきた。

 初めての甲子園での指揮になるが、確固たる指導実績があり、すべてを冷静に対処。静岡高の強みについて「選手たちは日々、甲子園で戦うことを意識して取り組んでいる」と全幅の信頼を寄せる。追い求める野球については「投手の高須(大雅)を中心に守りでリズムを作り、攻撃につなげる。バリエーション、引き出しを準備してきた。そのときの状況を見極めて攻めていきたい」と手応えを語る。

「落ち着き」の裏付けに「対応力」がある。8月9日に汗を流した甲子園の室内練習場のスペースには限りがある。打撃練習、投球練習、キャッチボール、守備練習をこなした。

 金子裕人主将(3年)は胸を張って言う。

「室内の大きさも把握していたので、静岡にいる間もその中でウォーミングアップをしたり、やってきたので、対応できました」

 すべては甲子園を頭に入れた取り組み。どんな環境でも、慌てることなく、ベストを尽くす術を知ったクレバーな集団である。

1回戦で対戦する相手校も警戒


 3つ目はどこにも負けない「戦う姿勢」だ。

 金子主将は続ける。

「(コロナ禍で中止になった)昨年の先輩からは勝ちへの執念を見せてもらいました。勝ちにこだわっていきたい。この1年間、多くの人に応援していただいたり、支えていただいた。そういう方たちのおかげで、野球ができる。恩返しをするためにも、結果を示すことが自分たちの原動力としてあります」

 1回戦で対戦する新田高・岡田茂雄監督は「走攻守でレベルが高い。序盤から食らいついていくしかない」と警戒する。1日の雨天順延を有効活用した静岡高の戦いぶりに注目だ。

文=岡本朋祐 写真=田中慎一郎
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