週刊ベースボールONLINE

2021夏の甲子園

真夏の甲子園に欠かせないブラバン応援。各校50人以内で生演奏を展開【2021夏の甲子園】

 

お馴染みの横断幕も


夏の甲子園は8月10日に開幕。開幕試合に登場した米子東高は三塁内野席とアルプスで、華やかな応援を繰り広げた


 やはり、真夏の甲子園にブラバン応援は欠かせない。第103回全国高校野球選手権大会が8月10日、開幕した。

 日大山形との開幕試合で、三塁側内野席とアルプス席には、米子東(鳥取)の学校関係者が座った。スクールカラーのグリーンがスタンドを彩っていた。お馴染みの横断幕も、アルプス席の最も外野寄りのフェンスに掲げられていた。

 今大会は一般入場が不可のため、チケットの発売はない。スタンドへの入場は学校関係者(各校約2000人以内を想定。野球部員、在校生、保護者。なお、野球部OB、OGらは学校判断)と、主催者が許可した関係者(報道、NPBスカウト)に限る。内野席には銀傘があり、熱中症対策にも期待できた。コロナ禍での大会運営。人の流れを止め、感染リスクをなくすための措置だった。アルプス席では各校50人以内のブラスバンドが演奏を展開。当然ながら、スタンドに売り子の姿はない。

 米子東は保護者・学校関係者が本塁側、一般生徒がアルプス席寄りに座った。また、三塁ベンチ上付近には控え部員が、18人のベンチメンバーを鼓舞。メガホンをたたく音が銀傘にこだまし、声がなくても、迫力があった。内野席では応援リーダーが指揮を執っていた。

 アルプス席では残りの控え部員が、ブラスバンドに打球が当たらないようにカバー。メガホン代わりに、グラブをたたいている部員も見かけた。

 昨夏の甲子園交流試合(中止となったセンバツ32校が招待され、各校1試合)はごく限られた学校関係者のみの入場で、一連の応援は一切なし。「試合開催」が最優先だった。エールを送る手段は、拍手のみ。今春のセンバツでは出場校があらかじめ音源を用意(できない学校は主催者が用意)して、アルプス席のスピーカーから流した。甲子園の臨場感が戻ってきた気はしたが、やはり、今夏の生演奏には及ばない。

 米子東は1対4で日大山形に惜敗。4点を追う9回表に1点を返し、意地を見せた。夏の最終回は何が起こるか分からない。従来であれば、劣勢の学校にこそ、自然発生的に一般のファンからも手拍子が起こっていた。この試合でも後押しとなったのは、スタンド応援にほかならない。悔しい思いはもちろんあるが、三塁側スタンドとアルプス席には、負けても、爽やかな空気が流れていた。

 甲子園は高校球児だけのステージではない。学校関係者、生徒が応援でバックアップしてこそ、試合が成立する。全力で演奏した米子東の吹奏楽部の部員、一般生徒にとっても生涯、忘れられない一日となったに違いない。

文=岡本朋祐 写真=早浪章弘
週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部が今注目の選手、出来事をお届け

関連情報

みんなのコメント

  • 新着順
  • いいね順

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング