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2021夏の甲子園

熱視線を注ぐスカウト。目の前の「結果」ではなく、将来性を見越した「内容」をジャッジ【2021夏の甲子園】

 

ドラフトは例年より早い10月11日に


今大会、スカウトから最も注目されているのは明桜高の157キロ右腕・風間だ[写真=BBM]


 第103回全国高校野球選手権大会が8月10日、阪神甲子園球場で開幕した。

 今大会は一般観客への入場者(チケット)販売は行わず、スタンドへの入場は学校関係者(野球部員、在校生、保護者ほか)と、主催者が許可した関係者に限られている。

 この「主催者が許可した関係者」には、各都道府県の高野連関係者、報道関係者のほか、NPBスカウトも含まれている。

 プロを志望する3年生にとっては、高校卒業後の進路に関わる大事なアピールの場。主催者側としても球児の将来を最優先し、視察を許可している。今大会に限った話ではなく、昨年8月の甲子園交流試合(中止となったセンバツ出場32校が招待)では1球団2人の入場が許可され、今夏は5人が入場できる。

 バックネット裏の記者席前にはあらかじめ、スカウト席が3ブロックほど設けられている。各スカウトは入場証に記載された座席番号のシートに着席。1席以上の距離を保ち、新型コロナウイルスの感染症対策を順守している。

 ドラフト会議は例年よりも早い、10月11日に行われる。これは、アマチュア側からのかねてからの要望であった。仮に指名漏れとなった場合、ドラフト会議が早く行われれば、次の進路選択(大学進学や社会人)に可能性が広がるからだ。

夏の甲子園は8月10日に開幕。NPBスカウトは1球団5人の入場が認められており、バックネット裏に指定された席で視察している[写真=石井愛子]


 高校生は夏に敗退すれば、引退を迎える。大学、社会人を含めたドラフト対象の中でも、最も早くシーズンを終える。甲子園でのパフォーマンスは評価が上乗せされる、と言われる。大舞台で力を発揮することは、プロで活躍する上で、必要不可欠な要素だからである。

 今大会の参加49代表校で最も注目されているのは、明桜高の157キロ右腕・風間球打(3年)だ。すでに、秋田での快投は誰もが認めるところ。甲子園での活躍次第では「ドラフト1位候補」から「超目玉」へ躍り出るかもしれない。マウンドで投げている姿だけでなく、ベンチでの表情、試合前の調整方法、何気ない素振りから性格を見極めるのが、スカウトの使命。テレビを視聴しただけでは、絶対に見えてこない部分を探るのが仕事である。

 高校生はこの夏の一発勝負をステップにして、評価が一気に高まるケースもある。原則、出場全49校が一回りするまで視察するのが各球団の慣例だ。目の前の「結果」ではなく、将来性を見越した「内容」をジャッジ。無観客の甲子園のネット裏からは、いつもと変わらず、プロの熱視線が注がれている。

文=岡本朋祐
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