低迷していた楽天とオリックス
球団創設1年目の05年、開幕戦には岩隈の奮投で勝利した楽天だったが……
東京オリンピックのため1カ月ほどの中断を挟む異例のシーズンとなった2021年。パ・リーグの首位で前半戦を終えたのは交流戦を制した
オリックス、これを1.5ゲーム差で追うのが開幕から好調だった楽天で、ともに18年前、04年の球界再編がエポックとなったチームだ。
オリックスは近鉄を吸収する形で合併して、“ブルーウェーブ”だったニックネームを改めて近鉄の“バファローズ”を継承したが、以降リーグ優勝は1度もない。ほぼ低迷していたといっていいだろう。一方の楽天に至っては、“消滅”した近鉄に代わって新たに参入した球団だ。プロ野球で51年ぶりに誕生した新チームは初めて本格的に東北を本拠地とする球団で、13年に初のリーグ優勝、日本一。ただ、その後は栄光から遠ざかっている。だが、もっとも低迷が深刻だったのは創設1年目の05年だ。このとき近鉄に所属していた選手はドラフトの形でオリックスと楽天に分配され、どうにか新チームの楽天も戦力を整えたものの、楽天の初代メンバーたちは苦戦を余儀なくされる。
投手陣は
岩隈久志や
福盛和男、打線は
吉岡雄二、
礒部公一ら近鉄の元メンバーに、無償で獲得した
山崎武司、
関川浩一らが加わったが、戦力で他のチームに及ばず。開幕戦こそ岩隈の力投で
ロッテに勝利したものの、続く第2戦では0対26の大敗、4月の中旬からは11連敗を喫して、どん底の最下位に沈んだ。7月は月間で初の勝ち越しと持ち直したのがハイライトで、なんとかシーズン100敗は免れて38勝97敗1分、勝率1位の
ソフトバンクと51.5ゲーム差、5位の
日本ハムからも25ゲーム差と大きく離されてのダントツの最下位だった。
翌06年も楽天は47勝85敗4分と大きく負け越しての最下位、05年は4位だったオリックスも深刻な低迷に陥って、52勝81敗3分の5位で、その差は4.5ゲームしか離れていない。続く07年に楽天は4位に浮上したが、このとき最下位に転落したのがオリックスだった。なお、05年のパ・リーグを制しのたは、現時点でオリックス、楽天に続く3位につけているのはロッテ。この05年は両リーグの交流戦が始まったシーズンでもあり、初代の王者となったのもロッテだった。
文=犬企画マンホール 写真=BBM