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2021夏の甲子園

二刀流でプロを目指す愛工大名電・田村俊介。その「適性」と「将来性」とは?【2021夏の甲子園】

 

「スター性がある選手」


愛工大名電の主将・田村俊介は東北学院との1回戦(8月11日)敗退後、涙を流すナインに言葉をかけていた。毅然とした姿で、最後までリーダーとしての役目をまっとうした


■8月11日 1回戦
東北学院5−3愛工大名電

 愛工大名電(愛知)の主将・田村俊介(3年)が「二刀流」の継続を宣言した。

 東北学院(宮城)との1回戦(8月11日)。背番号1は先発を託されるも「他の球場とは違って、圧がすごかったです」と、本来の力を出し切れず、3回途中2失点で降板し、右腕・寺嶋大希(3年)にリレーした。マウンドを譲っても、田村の役割はある。一塁守備に就き、三番打者としてチームを鼓舞。8回表にはソロ本塁打を放ち、2点差としたものの、反撃はそこまでだった(3対5)。

 愛知大会では準々決勝で東邦、準決勝で中京大中京、決勝で享栄を撃破。その勢いを甲子園でも披露したかったが、相手の気迫が上回った。新型コロナ禍で昨夏は地方大会が中止。田村は「(昨年の3年生には)甲子園で勝って、1勝でも多くプレゼントしたかったので、悔しい気持ちです」と無念を語った。

 高校野球は一区切り。田村は「悔しい思いをしましたが、これから先の道も、大舞台でやらないといけない。この経験は次のステージで生かされると思う」と、この日の試合後に高校卒業後の「プロ志望」を表明した。

 そこで、気になるのは投手と野手、どちらで勝負するのか、という点である。

「自分の中では両方、やっていこうと思います。チャンスに強い選手になりたい」

 3年間を指導した愛工大名電・倉野光生監督は田村の「適性」と「将来性」について語る。

「高校野球で活躍するには投手、野手の両刀で引っ張ってほしい気持ちがありました。サード、ファースト、外野といろいろなポジションを経験させました。将来は本人の気持ち、行った先でのチーム事情もあるでしょうが、どちらでも花が咲くだけの資質がある」

 今後の期待についてこう、続けた。

「勝負強さがある。スター性がある選手。高校生の中では打撃の安定感、飛ばす力は抜きん出ている。投手としては145キロが出ますが、もっと、もっと磨けば、投手としての才能は伸ばせる。海の向こうでは大谷翔平(エンゼルス)という素晴らしい二刀流の選手がいますが、そんな選手を目指してやってもらえたらいいと思います」

 スケールの大きな選手として、たくさんの夢と希望が詰まった田村。あるNPB球団のスカウト幹部は「野手評価」としていたが、ドラフトではどのような結末が待っているか。「令和の二刀流」の動向から目が離せない。

文=岡本朋祐 写真=田中慎一郎
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