日本ハムの
公文克彦、
平沼翔太と
西武の
木村文紀、
佐藤龍世との交換トレードが8月12日に両球団から発表された。シーズン中に同一リーグでのトレードは異例だが、打力強化を目指す日本ハムと、左のセットアッパー、内野のユーテリティープレーヤーの補強を模索していた西武の思惑が一致した。戦力アップと選手の飼い殺しを避けるため、各球団はトレードを水面下で模索している。「他球団の評価が高い選手」の動向が注目される。
攻守走で可能性を秘める28歳
・松本剛(日本ハム)
今季成績13試合出場、打率.067、0本塁打、0打点、0盗塁
通算成績295試合出場、打率.243、7本塁打、55打点、14盗塁
パンチ力のある右打者で小技も巧い。6年目の2017年に115試合出場で初の規定打席に到達。打率.274、5本塁打、33打点、21犠打と外野のレギュラーをつかみかけたが、
巨人からトレードで加入した
大田泰示に右翼の定位置を奪われ、出場機会を減らしている。今季は大田が打撃不振で苦しんだが、
淺間大基がブレーク。
五十幡亮汰、
万波中正と若手も台頭し、西武から木村が加入したことで、松本の立場は厳しくなっている。開幕一軍入りしたが、4月25日以降はファーム暮らし。イースタンでは打率.291、2本塁打、13打点、4盗塁と結果を残している。実直な性格で練習熱心でも知られる。28歳とまだまだ伸びしろがあり、攻守走で大きな可能性を秘めている。殻を突き破ってほしい。
育成出身の技巧派左腕
・大竹耕太郎(ソフトバンク)
今季成績1試合登板、0勝1敗、防御率21.00
通算成績32試合登板、10勝7敗、防御率4.00
球の出どころが見づらいフォームからカーブ、スライダー、チェンジアップ、ツーシームなど多彩な変化球をコーナーに投げ分ける技巧派左腕。今季は3月31日の
オリックス戦(京セラドーム)に先発して3回7失点KOを喫して以降、ファーム暮らしが続いているが、他球団の評価は高い。2018年に育成ドラフト4位で入団すると、1年目にウエスタンで8勝0敗、防御率1.87の好成績で支配下登録を勝ち取り、一軍でも3勝をマーク。19年も5勝とステップアップしたが、昨年は左ヒジの故障で出遅れた。それでも一軍で2勝0敗、防御率2.30をマーク。二軍では最多勝、最高勝率、最優秀防御率と投手三冠を獲得して格の違いを見せつけた。ソフトバンクは先発陣の層は厚いが、勝負どころの後半戦は食い込みたい。
正捕手の座をつかむ力のある男
・磯村嘉孝(広島)
今季成績21試合出場、打率.171、0本塁打、3打点、0盗塁
通算成績205試合出場、打率.226、8本塁打、34打点、0盗塁
中京大中京高で4度甲子園に出場。2年夏に広島のチームメートで1学年上の
堂林翔太とバッテリーを組み、全国制覇を達成した。2011年にドラフト5位で広島に入団し、課題だった打撃の技術を磨いた。19年は自己最多の65試合出場で打率,278、4本塁打、21打点をマーク。得点圏打率.389と勝負強さを発揮し、代打の切り札として主に起用された。捕手としてのリードも「緩急やインサイドワークを使い、投手の良さを引き出す」と信頼感が厚い。ただ、広島の捕手陣を見渡すと、球界屈指の打力を武器にする
會澤翼に加え、若手の
坂倉将吾、
中村奨成が急速に力を伸ばしている。今季先発マスクをかぶったのは8試合のみ。プロ11年目で初となる一塁で起用されたが、捕手でレギュラーをつかめる力を持った選手だ。
写真=BBM