週刊ベースボールONLINE

2021夏の甲子園

「不動心」「強弱」「責任感」明桜・風間球打が“逸材”と呼ばれる3つの顔【2021夏の甲子園】

 

スカウトが最も注目する本格派


明桜の本格派右腕・風間球打(3年)は帯広農との1回戦で2失点完投勝利。自己採点は「60点」と手厳しかったが「プロ注目投手」と評価されるだけの潜在能力を見せた


■8月15日 1回戦
明桜4−2帯広農

 明桜(秋田)の157キロ右腕・風間球打(3年)が帯広農(北北海道)との1回戦(8月15日)で完投勝利(4対2)を飾った。

 今大会、NPBの各球団のスカウトが最も注目した本格派投手。「逸材」と呼ばれるのはなぜか。甲子園初登板から見えた3つの顔があった。

 まずは「不動心」。12日は先発で4回無安打投球も、雨天によりノーゲーム。13、14日は悪天候による順延となり、ようやく本番を迎えた。だが、この日も朝から雨が降り注ぎ、止んでからグラウンド整備を開始。午前8時から3時間遅れでプレーボールという、いつもどおりのパフォーマンスを発揮するには難しいコンディションであった。

「悪いことも、良いことも考えずに、ゲームがあれば、そこへ向けて、自分の100パーセントの力を出せれば、と待っていました」

 勝負に挑む以上、言い訳はしない。条件は相手も同じである。集中力を切らさず、マウンドでは打者との対戦に全神経を研ぎ澄ました。

 2つ目は「強弱」である。序盤から相手打線は真っすぐ一本に絞ってきた。一時、逆転される展開もあったが、そこは冷静に対処。この試合、最も調子が良かったというフォークをカウント球や勝負球でも使った。ピンチの場面ではギアを一つ上げ、この日の最速150キロを計測。打線の援護により、勝ち越した中盤以降は意図的に真っすぐの球速を落として、タイミングを外す工夫をした。

監督に続投を志願


 最後にエースとしての「責任感」だ。自己採点が「60点」と言うように、甲子園出場の原動力となった秋田大会と比べれば、納得のいくボールは少なかったはず。明桜・輿石重弘監督は風間の球数(7回まで115球)を見て、8回からは遊撃手の石田一斗(3年)をリリーフさせる戦略を練っていた。しかし、風間は続投を志願。

「今回は初戦ということで、自分が投げ切らないといけないと思いました」

 背番号1を着ける自覚。大会の「入り」は良い形で締めたい。風間は8、9回をきっちりと抑え、2回戦につなげる投球を見せた。充実の140球だった。

「1勝できたのは大きい。良かったです」

 2回戦の相手は試合巧者・明徳義塾(高知)である。名将・馬淵史郎監督は相当な研究を重ねてくるはず。風間は相手校の対策を上回る投球が求められる。甲子園のマウンドについては「もっと投げやすいかと思いましたが、いざ試合となると、緊張感もあり、投げにくい部分もありました」と正直に話した。ノーゲームを含めれば、2回戦では3度目の登板のチャンスがある。次戦までに、100点満点に足りなかった40点を修正してくるはずだ。

 不動心、強弱、責任感。この3つ顔を貫くことが、風間の投球の生命線である。

文=岡本朋祐 写真=田中慎一郎
週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部が今注目の選手、出来事をお届け

関連情報

みんなのコメント

  • 新着順
  • いいね順

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング