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2021夏の甲子園

ダブルエースの“必勝継投”で長崎商が69年ぶりの甲子園勝利「一戦必勝で頑張る」【2021夏の甲子園】

 

52年には4強進出


8月16日、長崎商は熊本工との1回戦で勝利(8対4)。母校を率いる西口博之監督にとっても、格別の1勝となった


■8月16日 1回戦
長崎商8−4熊本工

 長崎商が熊本工との1回戦(8月16日)を8対4で勝利した。1952年以来、69年ぶりの白星である。

 九州勢で公立校対決。試合後の挨拶を終えると、両校は歩み寄って握手をし、健闘をたたえ合った。隣県同士の一戦であり、リスペクトをし合う微笑ましい光景だった。

 長崎商、勝利の校歌はやはり、格別である(今大会は主催者からの新型コロナウイルスの感染対策ガイドラインにより、大声での校歌斉唱は控えるよう通達されている)。一方、学校関係者が着席する一塁内野席、アルプス席では応援タオル、控え部員は黄色のメガホンを左右にして、声を発することができない歌詞に、その思いを込めていた。

 前日15日の1回戦では明桜(秋田)が帯広農(北北海道)に勝利したのが31年ぶり。なお、最大ブランクは2009年夏、関西学院(兵庫)が酒田南(山形)との1回戦で勝利した70年である。

 長崎市立長崎商業高等学校は1885年の学校創立で、野球部創部は1920年の伝統校だ。ユニフォームの胸にある「CHOSHO」として、地元で親しまれている。

 野球部は1925年夏に初出場。甲子園が完成した翌年で市岡中との初戦(2回戦)を突破し、初陣で準々決勝へ駒を進めている。26年ぶり3回目の出場となった1952年は4強進出。同春のセンバツも8強と力のあるチームだった。同夏、日大三との準々決勝を1対0(延長11回)で勝利したのが、甲子園での最後の白星である。以降、夏の甲子園は4連敗中だった。

◇長崎商の夏の全国選手権戦績
1925年  8強(1勝)
1926年  1回戦
1952年  4強(2勝)
1954年  1回戦
1969年 ※2回戦
1987年 ※2回戦
2016年  1回戦
【注】※は大会初戦。春のセンバツ大会は1933年1回戦敗退、1952年8強(1勝)

初戦突破も通過点


 同校OBの西口博之監督は投手としてプレー。西南学院大では主将を務めた。壱岐商で7年間の監督を務めた後、97年8月から母校を率いる。2016年夏に29年ぶりの甲子園出場へ導いたが、1回戦で山梨学院に惜敗(3対5)。今年6月には育成功労賞を受賞。夏は5年ぶりに代表権を獲得し、甲子園1勝を挙げた。

「(1952年を最後に)なかなか甲子園では4回、勝てていなかった。先輩方を乗り越えることを目標にしてきましたので、達成できてうれしく思っています」

 打線は13安打と活発で、投手陣は右腕・城戸悠希(3年)が5回まで投げ、6回からは右サイドスローの田村琉登(3年)が救援。長崎商には、このダブルエースによる必勝パターンが確立されている。

「一つまず勝って、目の前の試合に向けて、一戦必勝で頑張っていきます」(西口監督)

 初戦突破も通過点である。52年以来の「大会2勝」へ、長崎商は歩みを止めない。

文=岡本朋祐 写真=高原由佳
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