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打撃不振で二軍降格経験も…巨人・丸佳浩に「セ・リーグで最も怖い打者」と警戒の声が

 

「もともと爆発力のある選手」



 最大8ゲーム差あった首位・阪神との差を縮めている巨人。その原動力になっているのが丸佳浩だ。後半戦がスタートすると、8月14日の中日戦(東京ドーム)で2本塁打4打点の大活躍。チームは3対13と大敗したが17日のヤクルト戦(松山)では13号2ランを放った。打率.291、13本塁打、32打点(8月17日時点)は丸の実績を考えれば驚く成績ではないが、前半戦は打撃不振で登録抹消された時期があった。故障以外でのファーム降格は広島時代の2012年9月以来9年ぶり。主力として活躍以来、かつて経験したことがない試練を乗り越えたことは大きな価値がある。

 丸は開幕して間もなく、新型コロナウイルス感染が判明して戦線離脱。4月23日に復帰すると、28日のヤクルト戦(神宮)で今季初アーチを放つなど5試合連続安打で戦線離脱する前の打率.087から.256まで上昇した。しかし、4月30日の中日戦(東京ドーム)で2併殺を含む4打数無安打に終わり、5月1日の2戦目も2打数2三振で途中交代。打順が三番から六番に下げられてからもなかなか状態が上がらない。40試合出場で打率.227、4本塁打、8打点で、6月5日にファーム降格が決まった。

 だが、このまま終わらない。6月18日に一軍復帰以降は悔しさを晴らすかのように打ちまくっている。6月は月間打率.346、4本塁打、12打点。7月は月間打率.390、2本塁打、5打点2カ月で打率が7分近く上昇した。

「スランプに入ると長いが、前半戦はその時期にハマったのだと思う。二軍で打撃フォームを整えてきたのでしょう。再昇格してからは直球に差し込まれることがなく、変化球も粘り腰で広角にはじき返す。もともと爆発力のある選手で、打ち出すと止まらない。セ・リーグで今、最も怖い打者だと思います」(他球団のスコアラー)

 広島に在籍時は16年からリーグ3連覇に大きく貢献。17年は打率.308、23本塁打、92打点でセ・リーグMVPを受賞。翌18年も打率.306、39本塁打、97打点で2年連続セ・リーグMVPに輝き、最高出塁率(.468)のタイトルを獲得した。18年オフに巨人にFA移籍すると2年連続全試合出場でリーグ連覇に貢献している。

骨折しながらプレーで優勝に貢献


 昨年はシーズン前の週刊ベースボールのインタビューで、「(新型コロナウイルスの感染拡大の影響で120試合制に)経験がなくてどうなるのか分からないので、特別意識していることはありません。気持ち的にも焦ることもないし、ひとまず例年どおりに。やることはやってきていますし、これからも継続していくんですが、結局、自分の仕上がり具合がどうなのか実戦で試してみないと分からないことがたくさんあるので、まずは試合に出られる準備を進めようと。試合に出たら、MAXとの距離はどれくらいあるのか判断して、また練習して、修正の繰り返しだと思います。気持ち的にも半分はワクワク、半分は今年はどうなるんだろう? という、そんな感じですね」と思いを口にしていたが、チーム唯一の全120試合出場で打率.284、27本塁打、77打点ときっちり結果を出した。

 ただ、驚きのエピソードも。原監督は優勝会見の際に、「実は丸は骨折していたんですね。完全に治りきっていない。しかし私に対してはまったく大丈夫だと。現実はかなりつらかったと思いますね」とを明かした。毎年高水準の結果を残しているが、それは技術だけで成し得ているわけではない。故障や打撃不振という試練を乗り越える強靭な精神力を持っている。今季も逆境からはい上がった。リーグ3連覇に向け、後半戦は丸がチームの命運を握るキーマンになることは間違いない。

写真=BBM
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