週刊ベースボールONLINE

川口和久WEBコラム

カープに足りないもの/川口和久WEBコラム

 

抑え以外すべて誤算


苦しむ鈴木誠也


 広島の前半戦はまったくいいところがなかった。

 野球は、投手は先発ローテ、抑え、打者はリードオフマン、四番が固まれば強いと言われるが、よかったのは勝ち星には恵まれなかったけど先発の森下暢仁、あとは抑えの栗林良吏だけだ。

 投手陣の大きな誤算が大瀬良大地だったが、後半戦の初戦に1勝。悪いときの変化球に頼るピッチングではなく、真っすぐを軸にした本来のピッチングが戻ってた。これで森下と九里亜連で先発三枚がそろい、よしこれから上がってくるかな、と思ったが、後半戦も、やっぱりもったいない戦いが続いている。

 問題は得点力だ。鈴木誠也は打率こそ悪くないが、得点圏打率が.258でしょ。打点40は巨人岡本和真が83の半分以下だしね。

 鈴木は東京五輪日本代表でも四番に座った誰もが認める素晴らしいバッターだが、タナキクマルが機能し、新井貴浩がいた時代とは違い、今はすべての重圧を背負い、迷っているように見える。自分の四番像が見えていないというのかな。

 松山竜平長野久義あたりのベテランが頑張るか、外国人の大砲がいれば彼の景色も違ってくるとは思うけどね。

 昔、巨人・長嶋茂雄監督は松井秀喜をなかなか四番にしなかった。もうタイトル争いするくらいの力があっても落合博満さんや清原和博を四番に置いた。

 あれも「四番の重圧」というのを十二分に知っていた長嶋さんだからこそだった。結果的に松井はMLBに行くまでの短い期間だったが、巨人不動の四番となった。

 打線のもう一つの課題、一、二番は野間峻祥小園海斗が台頭し、解決する可能性も出てきた。野間はもともと丸佳浩にも匹敵する力があったが、一軍トップレベルの真っすぐと変化球に対処できず、好調が長続きしなかった。今度はどうかな。年齢的にも懸ける思いはあるだろう。

 パズルでいえば、カープはあと2つ、3つ埋まれば全体像が見えるところにはいるが、残り試合と借金を考えると、もはや3位も厳しい。

 ただ、戦いは今年だけで終わるわけじゃない。まずは、しっかりこのチームの戦う形をつくってほしい。それが回り道のようで近道になるはずだ。

写真=BBM
週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部が今注目の選手、出来事をお届け

関連情報

みんなのコメント

  • 新着順
  • いいね順

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング