前半戦を終えて、セ・リーグは
DeNAの
佐野恵太、パ・リーグは
オリックスの
吉田正尚が打率トップに立っている。両者がこのまま首位打者となればともに2年連続となるが、チームとしては何度目の首位打者獲得となるのだろうか? 今回は、球団ごとの「首位打者獲得回数」と「首位打者輩出数」を調べてみた。
純粋な獲得数では巨人がぶっちぎりトップ
落合はロッテで5度、首位打者に輝いている
まずは1950年以降のデータを基に、チームごとの「首位打者を獲得した回数」を調べた。その結果、多い順に以下のようになった。
※前身チームを含む。 第1位……25回(
巨人)
第2位……18回(ロッテ)
第3位……14回(オリックス)
第4位……12回(
中日、
日本ハム)
第5位……11回(DeNA、
ソフトバンク)
第6位……9回(
西武、
阪神)
第7位……8回(
ヤクルト)
第8位……7回(
広島)
第9位……2回(
楽天)
最も首位打者を獲得している球団は巨人。最近でも2016年に
坂本勇人が獲得しているが、やはり
王貞治、
長嶋茂雄の存在が大きい。王は通算5度、長嶋も1959年に首位打者になってから、1971年までに6度首位打者のタイトルを獲得した。もしこの2人がいなければ、首位打者獲得回数は12球団中4位に転落する。
巨人に次いで多いのがロッテで18回。
落合博満が通算5度の首位打者になっており、それ以外にも
榎本喜八や
有藤道世、
山内和弘といった巧打者が在籍した。3位はオリックス。いうまでもなく
イチローの存在が大きい。1994年から2000年まで7年連続で首位打者を獲得。もちろんNPB記録だ。
4位は中日と日本ハムが同数で並ぶ。中日は3年連続の
アロンゾ・パウエルや2度獲得の
福留孝介がいる。日本ハムは、東映時代を含めて
張本勲が6度の首位打者獲得と、チーム総数の半分を占めている。DeNAとソフトバンクは11回。10回以下では西武と阪神が9回。ヤクルトが8回。2005年発足と歴史の浅い楽天(通算2回)を除くと、最も少ないのが広島で7回となっている。これまで数々のヒットメーカーが在籍してきたが、首位打者になった人数は意外と少ない。
輩出数ではロッテが巨人を上回る
チームごとの獲得回数では巨人が25回でトップとなったが、「輩出数」で見るとどこが最も多いのだろうか? 同じく1950年以降を対象に、首位打者の輩出数を調べてみた。
※内川聖一はDeNA、ソフトバンクそれぞれ別でカウント ●ロッテ……12人
山内和弘、榎本喜八、
江藤慎一、有藤道世、リー、落合博満、
高沢秀昭、
西村徳文、
平井光親、
福浦和也、
西岡剛、
角中勝也 ●巨人……11人
川上哲治、
与那嶺要、長嶋茂雄、王貞治、
篠塚利夫、
クロマティ、
松井秀喜、
ラミレス、
長野久義、
阿部慎之助、坂本勇人
●DeNA……10人
ミヤーン、
長崎啓二、
パチョレック、
鈴木尚典、ローズ、
金城龍彦、内川聖一、ブランコ、
宮崎敏郎、佐野恵太
●ソフトバンク……9人
岡本伊三美、
杉山光平、
広瀬叔功、
野村克也、
佐々木誠、
松中信彦、内川聖一、
長谷川勇也、
柳田悠岐 ●西武……8人
中西太、
豊田泰光、
白仁天、
吉岡悟、
辻発彦、
和田一浩、
秋山翔吾、
森友哉 ●中日……7人
西沢道夫、江藤慎一、
中暁生、
谷沢健一、パウエル、福留孝介、
ビシエド ●阪神……6人
藤田平、
真弓明信、バース、
オマリー、
今岡誠、
マット・マートン ●広島……6人
森永勝治、
山本浩二、
水谷実雄、
正田耕三、
嶋重宣、
鈴木誠也 ●オリックス……6人
レインズ、
加藤秀司、
ブーマー、イチロー、
糸井嘉男、吉田正尚
●ヤクルト……5人
若松勉、
古田敦也、ハウエル、
青木宣親、
川端慎吾 ●日本ハム……4人
大下弘、張本勲、
小笠原道大、
稲葉篤紀 ●楽天……2人
リック、鉄平
輩出数最多は12人のロッテ。獲得数25回で12球団最多だった巨人は11人で、輩出数では2位となった。3位は10人のDeNA。総獲得回数では巨人やロッテとは大きな差があったが、輩出数で見ると両チームに迫る数字となっている。今季は前半戦を終えた時点でDeNAは
桑原将志が打率リーグ3位、
オースティンが4位と好調で、どちらかが初タイトルとなれば巨人の11人に並ぶことになる。
オリックスではイチローがチーム総数半分の7度首位打者を獲得
その他、総獲得回数と大きな開きがあるのはオリックスと日本ハム。イチローと張本が多くタイトルを獲得していただけに、輩出数で見ると少なくなってしまう。
首位打者獲得回数が最も多いのは巨人だが、輩出数ではロッテが最多となった。先述のように、今季はDeNAが輩出数2位の巨人に並ぶ可能性があるが、一方の巨人も前半戦終了時点で打率2位の
ウィーラーに首位打者獲得の可能性がある。もしウィーラーが首位打者となれば12人で巨人がロッテに並ぶが、そのロッテも打率上位に複数の選手がランクイン。巨人を突き放す可能性があるなど、実は「輩出数争い」も激しいものになっているのだ。果たして今季終了後にランキングは変動するのか、その点にもぜひ注目してもらいたい。
文=中田ボンベ@dcp 写真=BBM