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根尾昂、藤浪晋太郎、奥川恭伸…セ・リーグ6球団「夏の甲子園」で最も実績のある選手の現在地は?

 

夏の甲子園が開催中だが、現在、プロのユニフォームを着ている中にも“聖地”で躍動した選手は多々いる。果たして、セ・リーグ6球団で「夏の甲子園」で最も実績のある選手は誰か? そして、その現在地を見ていこう。
記録は8月20日現在

中日ドラゴンズ



 甲子園での実績なら、この選手の右に出る者はいないだろう。プロ3年目の根尾昂だ。大阪の名門、大阪桐蔭高で2年の春から4季連続で出場し、3度の優勝に輝いている。しかも二刀流の活躍。通算成績は、打者としては19試合で70打数26安打の打率.371、3本塁打に20打点。主にショートを守り、攻守走と三拍子のそろったオールラウンドプレーヤーだった。投手としては7試合に登板し、42回を投げて41奪三振、防御率1.93という数字を残している。3年時に春夏連覇を達成し、その年のドラフト1位で4球団が指名したのも当然だろう。中日に入団したが、まだレギュラーには定着していない。甲子園を沸かせたスター選手として、ここからが勝負となる。

読売ジャイアンツ



 巨人には夏の甲子園ファイナリストが多い。深紅の大優勝旗にあと一歩届かなかったのは広島・広陵高(2007年)の小林誠司、神奈川・東海大相模高(10年)の大城卓三、石川・星稜高(19年)の山瀬慎之助で、いずれも捕手。一方、全国の頂点に立っているのは大阪桐蔭高勢で、2014年制覇の香月一也、2018年春夏連覇の横川凱だ。ただ、横川は柿木蓮(現日本ハム)、根尾昂(現中日)に次ぐ三番手投手で出番は少なく、香月は副主将で「三番・サード」。12安打10打点1本塁打、打率.444の成績で優勝に貢献した。香月はその後、18Uアジア野球選手権の日本代表メンバーに選ばれ、全5試合で「五番・サード」で準優勝。このときの四番が現在のチームメートの岡本和真(智弁学園高)、三番が同じく岸田行倫(報徳学園高)だった。

阪神タイガース



 今回のテーマで、この男の存在を無視したら多くの甲子園ファンに怒られるだろう。藤浪晋太郎だ。2012年、第94回大会の夏の甲子園に大阪桐蔭高で大阪府代表として出場。センバツで優勝を飾り、春夏連覇がかかっていた。順調に勝ち進み、決勝の光星学院高戦では夏の甲子園決勝で最速となる153キロの真っすぐを投げ、2安打完封勝利で史上7校目の春夏連覇を達成した。その年のドラフトでは4球団の指名を受け、阪神がクジを引き当て入団。1年目から3年連続2ケタ勝利を挙げるなど活躍。一時低迷したが、今季は開幕投手を務めた。まだ制球に不安があるが、マウンドに上がるたびにファンからの声援も多く、その人気は衰えていない。

東京ヤクルトスワローズ



 夏の甲子園に限れば、2019年に準優勝を果たした星稜高出身の奥川恭伸だ。甲子園では5試合に登板し防御率1.09と、圧倒的な成績を残した。履正社高との決勝こそ、井上広大(現阪神)に3ランを浴びるなど力尽きたが、智弁和歌山高との3回戦は延長14回(タイブレーク)を一人で投げ抜く熱投を見せた。プロ1年目こそ、故障もあって体づくりやフォーム固めに注力したが、2年目の今季は開幕先発ローテーションに名を連ね、後半戦の“開幕投手”を任されるほどに。現在5勝を挙げており、エースへの階段を着実に上っている。8月3日のエキシビションマッチ・楽天戦(楽天生命パーク)で奥川とバッテリーを組んだ捕手の内山壮真は、当時2年生ながら正遊撃手で、打率.385、2本塁打と準優勝に大きく貢献した。ファームでも打棒を発揮しており、奥川−内山の星稜バッテリーは、これからのヤクルトを担うだろう。

広島東洋カープ


広島・中村奨成


 広島では何と言っても、4年前の2017年夏に広陵高から出場し、準優勝した中村奨成だ。あのPL学園高・清原和博(のち西武ほか)の持っていた大会最多本塁打記録を更新する6本塁打。ほかにも17打点、43塁打と大会最多記録を更新した。3試合連続本塁打、19安打、6二塁打は大会最多タイ記録だった。守備でも強肩ぶりを発揮、高い評価を得た。ドラフトでは2球団競合の末、交渉権を得た地元の広島に入団。プロ入りに際しては、「夏の甲子園のホームラン記録を作った、あの中村奨成」という目で見られ続けることを心の中でいったん整理し、覚悟したうえで入団。ケガなどもあったが地道な努力を重ね、今季はプロ初安打、初本塁打も記録している。

横浜DeNAベイスターズ



 2008年に1学年下の筒香嘉智らと出場し、4強に進出した横浜高の倉本寿彦の実績も見逃せないが、聖地でのインパクトという点では05年に樟南高の遊撃手として活躍した(前田)大和が強烈だった。3年夏、鹿児島大会決勝で9回3点差を追いつく同点打を放ち(対神村学園高、現巨人の野上亮磨から)、チームの逆転Vにつなげると、甲子園でも3試合で打率.357と打ちまくった。樟南高は8強に進出。特筆すべきは高校生離れした内野の守備だった。当時阪神の監督だった岡田彰布が甲子園での大和のプレーに惚れ込み、秋のドラフトで4位指名されたエピソードは有名だ。

写真=BBM
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