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2021夏の甲子園

白星を挙げた大会では上位進出。初戦突破で快進撃が期待される石見智翠館【2021夏の甲子園】

 

ピンチでも慌てずに


石見智翠館(島根)は弘前学院聖愛(青森)との2回戦(8月21日)で初戦突破(4対3)を遂げ、18年ぶりの夏勝利。島根大会決勝でノーヒットノーランを遂げたエース・山崎琢磨は3失点で完投している


■8月21日 2回戦
石見智翠館4−3弘前学院聖愛

 合言葉は「次のアウトを取る」だった。

 石見智翠館(島根)は2対2の8回裏、宮本赳希(3年)の左越え2ランで勝ち越し。迎えた9回表の守りである。

 追う弘前学院聖愛(青森)は2連打で無死一、二塁。三塁ベンチの石見智翠館・末光章朗監督はこのピンチにも慌てなかった。

「勝ちを意識したわけではない。聖愛さんの思い。皆でつないでいこうという思いが出たのだと思います」

 絶対に走者を進めさせたくない場面である。マウンドのエース・山崎琢磨(3年)も冷静だった。二塁けん制の後は一度、マウンドを外して様子を見た。ボール一つを置いて、再び、マウンドを外す。そして、今度は一塁けん制。相手走者のスタートを一歩でも遅らせたい意図があったのは確かだ。

 一塁手、三塁手はチャージを仕掛けてきた。3ボール1ストライクから一塁前に転がったバントを、石見智翠館の一塁手・伊藤陽春(3年)は正確な三塁送球。二塁走者の三塁進塁を許さなかった。

 直後の一死一、二塁から弘前学院聖愛の代打・佐藤雄心(3年)の中前適時打で1点差とされるも、次打者は投ゴロ。「1−6−3」と転送され、石見智翠館は逃げ切っている。

 石見智翠館は今夏の島根大会5試合で1失策。甲子園でも無失策で鉄壁のディフェンス力を見せた。同大会で決勝初のノーヒットノーランを遂げた右腕・山崎の度胸満点の投球も光った。

 江の川から2009年4月、石見智翠館に校名変更。2013、15、19年は初戦敗退を喫しており、同校名で悲願の初勝利となった。江の川としての最後の出場である05年も初戦敗退しており、連敗を4で止める形となった。島根県勢としても、12年の立正大淞南以来、9年ぶりの勝利だ。

 石見智翠館は江の川時代を含め、過去10回目の甲子園出場で、通算5勝10敗。1988年は強打捕手・谷繁元信(元横浜ほか)を擁して2勝を挙げ8強進出、03年は3勝を積み重ね、準決勝へ駒を進めた。つまり、白星をマークした大会では上位へ進出している。今大会は18年ぶりの初戦突破で3回戦進出。「守りの野球」で快進撃が期待される。

文=岡本朋祐 写真=高原由佳
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