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下位低迷の広島に「この戦力で優勝争いしていないのが不思議」の声が キーマンは鈴木誠也か?

 

実績のある選手はそろっているが


東京五輪では日本代表の四番に座り、金メダル獲得に貢献した鈴木


 侍ジャパンが金メダルに輝いた東京五輪。史上最多の4選手が選ばれた球団が広島だった。鈴木誠也は全試合で四番を務め、新人の栗林良吏は守護神に抜擢され、全試合登板で2勝3セーブの大活躍。森下暢仁も決勝のアメリカ戦に先発して5回無失点の快投を見せた。侍ジャパンの常連になった菊池涼介も二塁の守備で躍動。故障で出場辞退したが、曾澤翼も選出されていた。

 各球団のスターたちが集まる侍ジャパンでそれぞれ選手が中心選手として活躍したが、所属する広島は苦しんでいる。前半戦を終えて30勝42敗10分で下位に低迷。後半戦に入っても4連敗を喫するなど8月21日に最下位転落と上昇気流に乗れない。リーグ優勝どころかCS進出も厳しい状況に追い込まれている。

 選手が決していないわけではない。侍ジャパンで活躍した4選手に加え、大瀬良大地九里亜蓮野村祐輔西川龍馬長野久義松山竜平と実績のある選手たちがそろっている。若手も小園海斗林晃汰坂倉将吾中村奨成と成長株たちが台頭している。

 他球団のスコアラーは「広島は個々の選手の能力が高いですよ。優勝争いを繰り広げている上位3球団(阪神巨人ヤクルト)と比べても遜色ない。先発陣のコマ不足など課題はありますが、どの球団も抱えている問題です。この戦力で優勝争いしていないのが不思議ですね」と話す。

 わずか数年前はセ・リーグで圧倒的な強さを誇っていた。2016〜18年に球団史上初のリーグ3連覇を達成。先制されてもひっくり返す爆発力があった。勝負どころで投手陣が踏ん張り、打線はきっちり点を取る。試合巧者のイメージが強かったが、今はすっかり影をひそめてしまった。19年は4位と4年ぶりにBクラスに沈み、緒方孝市前監督が退任。佐々岡真司監督が就任したが昨年は5位、今季も6月11日以降は借金が2ケタ以上を抱えたまま、上昇カーブを描けない。攻守でミスが目立ち、主導権を握っていた試合も簡単にひっくり返される。広島の真骨頂である粘り強さが影を潜め、淡白に試合をしているように見えてしまう。

「問題は得点力」


 広島OBで野球評論家の川口和久氏は週刊ベースボールのコラムで、「広島の前半戦はまったくいいところがなかった」と辛辣な評価を下し、「野球は、投手は先発ローテ、抑え、打者はリードオフマン、四番が固まれば強いと言われるが、よかったのは勝ち星には恵まれなかったけど先発の森下暢仁、あとは抑えの栗林良吏だけだ」と分析。「投手陣の大きな誤算が大瀬良大地だったが、後半戦の初戦に1勝。悪いときの変化球に頼るピッチングではなく、真っすぐを軸にした本来のピッチングが戻っていた。これで森下と九里亜蓮で先発三枚がそろい、よしこれから上がってくるかな、と思ったが、後半戦も、やっぱりもったいない戦いが続いている」と振り返っている。

 球界を代表する強打者の鈴木誠也についても奮起を促した。

「問題は得点力だ。鈴木誠也は打率こそ悪くないが、(前半戦終了時点で)得点圏打率が.258でしょ。打点40は巨人・岡本和真が83の半分以下だしね。鈴木は東京五輪日本代表でも四番に座った誰もが認める素晴らしいバッターだが、タナキクマルが機能し、新井貴浩がいた時代とは違い、今はすべての重圧を背負い、迷っているように見える。自分の四番像が見えていないというのかな。松山竜平、長野久義あたりのベテランが頑張るか、外国人の大砲がいれば彼の景色も違ってくるとは思うけどね」

 20日のヤクルト戦(マツダ広島)では4点差を追う6回に菊池が8号ソロ、鈴木が同点適時打を放つなど、相手のミスにつけこむ集中打で一挙5得点を奪い、鮮やかな逆転勝ちを飾った。個々の能力は高いだけに浮上のチャンスは十分にある。これ以上負けられない試合が続く中、佐々岡監督の采配も大きなカギを握りそうだ。

写真=BBM
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