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若獅子インタビュー

「捕手はヤバいポジション」西武・牧野翔矢は“バッテリーでお立ち台”を夢見て白球と向き合う/2021若獅子インタビュー第16回

 

自己採点は「50点以下」


今季、3年目を迎えた牧野(球団提供)


 2019年ドラフト5位で西武に入団し、3年目を迎えた牧野翔矢。「1年目は内容の薄い1年だったなと思います。頭で理解できても体がついていきませんでしたし、野球を深く理解せずに日々を過ごしていたと思います」と振り返った。2年目は、6月に右有鉤骨骨折。有鉤骨鉤切除術を受け三軍暮らしが続いた。当時、育成コーチを務めていた上本達之の指導で、牧野の野球に対する姿勢に変化が表れる。「上本さんは捕手だったので、配球から打者の仕草までたくさんのことを教えてもらいました。打撃についても、下半身の使い方や手を柔らかく使うことなど手取り足取り教えてもらったことで、自分の頭で理解したことが体で表現できるようになりました」。昨年はケガの影響で試合出場こそ少なかったものの、充実した1年を過ごした。

 そして迎えた3年目。今季を迎えるにあたって「一軍昇格」を目標に立てたが、現状果たすことはできていない。シーズンの半分以上を消化した今、ここまでの自己採点は「50点以下」だと話す。「前半にケガをしてしまって、また1年間戦い抜くことができなかったことが一番悔しいです」と唇を噛んだ。一軍昇格のためには、守備だけでなく、打撃でも結果を残していなかいといけない。岡田雅利は小技もそつなくこなし、森友哉は青天井のパワーと卓越した打撃技術、柘植世那は粘りのある打撃と意外性にも定評がある。ライバルはそれぞれ長所がある。「僕の理想は内野の間を抜くような打球です。詰まってでも、泳がされてでもヒットになれば」とコツコツ単打を積み重ねていきながら戦いの輪に加わるつもりだ。

 守備面で掲げる目標は、自らがマスクをかぶった試合での「防御率3点台」。そして盗塁阻止率は「4割台」と高い目標を掲げている。練習ではキャッチングとネットスローを何度も繰り返し「地味な練習ですが、すべてにつながってくる大事なこと」と基礎をしっかり固める毎日だ。

 現在、ともにファームで調整を続ける柘植世那は「面倒見のいいお兄ちゃん」。タイプこそ違うものの、自主トレを一緒にする柘植が近くにいることは心強い。「後半戦が始まっていますが、いま防御率5点台と高いので下げられるように、それによってチームが勝つことがベストですし、その中でもコツコツとヒットを重ねていきたいです」と巻き返しを誓った。

 長く捕手を続けていながらも、プロ入りしてあらためて感じたことがある。「プロになったら捕手ってヤバいポジションなんだと思いました。毎日が試合で自分の結果も残しつつ、チームも勝たないといけないとなるとプレッシャーがすごいです」と、この世界で自らに課された責任の大きさを受け止めている。ただ、それは牧野の努力次第で一瞬にして勝利の立役者になる瞬間も訪れるだろう。「チームが勝ったとき、ヒットを打った打者がヒーロー、好投をしたら投手がヒーロー、その次に捕手はヒーローだと思います。バッテリーとして見てくれたらうれしいですね」とバッテリーでお立ち台に上がる日を実現させるべく、今日も白球に向き合う。

西武ライオンズ広報部
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