テレビを見ながら原監督がポツリと
8月25日の
広島戦で巨人の四番・岡本和真がリーグトップ31本塁打をマークした。
俺がコーチをやめてからの巨人入団だが、2018年に一軍に定着してから4年連続30本塁打以上になる。25歳以下の4年連続は
王貞治さん、
松井秀喜以来らしい。彼は俺の巨人時代と同じ背番号25で、何とか気になっていたけど、いい選手になったね。
岡本を最初にマジマジと見たのは、2014年、夏の甲子園だ。あのとき俺は巨人の投手総合コーチで、神宮球場の
ヤクルト戦だったと思うけど、テレビがあったんで、何となく
原辰徳監督と一緒に試合を見ていた。
別に誰が出ている試合だから見ようじゃなく、ほんとたまたまだった。
そのとき、原監督が「おお、この選手、いいな」とつぶやいたのが、智弁学園高の岡本だった。
見る目がなくて申し訳ないが、俺はリストの使い方はいいなと思ったが、そこまですごい選手とは思わなかった。
だから「どこがいいんですか」と聞いたら、
「何かを感じるんだ。将来の伸びるんじゃないかな」って。
ビビビときたみたいだ。一目惚れだね。
実際、ドラフトでは1位で獲ったけど、そんなに1位で大争奪戦になるという選手ではなく、もしかしたら外れ1位で狙っても獲れたかもしれない。
でも、原監督は岡本を外れ1位じゃなく、単独1位で獲りたかったんだと思う。原さんって、そういうところがある。初志貫徹じゃないけど、最初にこうだと思ったものは最後まで貫く。
あとは将来の四番候補として考えていたんだと思うよ。前も書いたけど、あの人は「ドラフト1位」を特別なことと考えている人だから。
岡本は才能だけの選手じゃなかった。体がそうだけど、入団時はガリガリに見えたが、今は3倍くらいに大きくなったんじゃないかな。これはもう積み重ねた努力の証しとしか言いようがない。体を鍛え、技術を磨き、しかも、
高橋由伸監督にもらったチャンスをしっかり生かした。
今でもすごい四番打者だと思うけど、何年か先がすごく楽しみだね。
写真=BBM