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高卒2年目で攻守に活躍のDeNA・森敬斗に「球界No.1遊撃手になれる」の声が

 

「チームで一番のスピード」



 下位に沈むDeNA。だが、未来は決して暗くない。二遊間がウィークポイントだったが、新人の牧秀悟が前半戦に大活躍を見せると、遊撃もスピードを武器に頭角を現している若手がいる。高卒2年目の森敬斗だ。

 2019年ドラフト。将来性豊かな佐々木朗希(ロッテ)、奥川恭伸(ヤクルト)、大卒即戦力の森下暢仁(広島)と才能あふれる投手がいたが、DeNAが1位で単独指名したのが森だった。桐蔭学園高では攻守走3拍子そろった高校No.1遊撃手として名をはせた。

 プロ1年目はイースタンで58試合に出場し、打率.210、2本塁打、13打点、7盗塁。森は週刊ベースボールのインタビューで、「真っすぐの対応もそうですし、打撃では三振の数(48)が多かったです。シーズン最初のころは2ストライクと追い込まれると手も足も出ない打席がありました。自分では『2ストライクまでに打てばいい』と思っていたんですけど、なかなか若いカウントで仕留めることができなくて、追い込まれてから落ちる変化球についていけなかった。高校時代は落ちるボールを投げる投手との対戦が少なかったですから。そこに関しては苦労したと思います」と振り返っている。

 力不足を感じながらも、その才能の片鱗を早くも一軍で見せている。10月27日の巨人戦(横浜)で8回に代打でデビューを飾ると、巨人・ビエイラの154キロの速球を振り抜き、左翼フェンス直撃の二塁打を放った。「打った瞬間は『ちょっと上がり過ぎたかな』とも思ったんですけど、横浜スタジアムの歓声がすごくて。『入れ〜』と思って一塁に走りましたが、パワーが足りませんでしたね(笑)。でも、ストレートの強い投手からしっかりスイングができた。今年取り組んできた課題に対しても、しっかり結果を出すことができ、自信になりました」。
 
 三浦大輔監督は昨年、二軍監督だったため、「チームで一番のスピード」と森の潜在能力を誰よりも認めている。2年目の今季は開幕二軍スタートだったが、7月10日に一軍昇格すると、11日の中日戦(バンテリン)に「二番・遊撃」で今季初のスタメン出場を飾り、マルチ安打、盗塁も決めて首脳陣の期待に応える。その後も大和柴田竜拓を差し置いて遊撃のスタメンに。17日の阪神戦(東京ドーム)ではプロ初の猛打賞をマークした。遊撃の守備でフットワーク、グラブさばきなど技術面で大和、柴田にまだまだ及ばないが、俊足を生かした広い守備範囲と、一塁への矢のような送球を可能にする強肩は大きな魅力だ。

一軍投手の直球、変化球に対応


 他球団のスコアラーも森を高く評価する。

「一軍の投手の直球、変化球に対して完全に対応している。高校時代から野球センスは目を見張るものがありましたが、プロに入っても適応能力がすごい。昨年と比べても打撃が格段に良くなっているし、遊撃の守備も安定感が出てきている。プレースタイルは球団OBで名ショートだった石井琢朗さん(現巨人野手総合コーチ)に似ていますね。球界No.1遊撃手になる可能性は十分にあると思います」

 森は昨年のインタビューで理想とする選手像について、「母校(桐蔭学園高)のOBである鈴木大地さん(楽天)です。体を張ったプレーは見習いたいなと思っています」と語り、「レギュラーを獲るところまでは難しいかもしれませんが、来年は一軍にずっといられるように頑張りたいです。同級生のドライチである、石川(石川昂也)、奥川、佐々木朗希たちに負けないようにやっていきます」と誓っている。

 ライバルたちの存在が刺激になる。19歳のショートストップがグラウンドを疾走し、チームに不可欠な存在になる日はそう遠くないだろう。

写真=BBM
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