8月20日、日本ハムから巨人へ電撃無償トレードが発表された中田翔が話題となったが、ユニフォームを変えた選手がチームの大きな力となることはよくあることだ。果たして、現在“戦力となっている”移籍選手は誰なのか。セ・リーグ各球団を探ってみた。 記録は8月27日現在 読売ジャイアンツ
6月に山口俊がチームに復帰し、8月に入ってからは中田翔を無償トレードで迎え入れるなど、ビッグネームの獲得で強化に余念がない。ただし、この2人は加入から日が浅く、戦力として期待されるのは9月以降の優勝戦線。ほかに今季の移籍選手で言えば、FA加入の
梶谷隆幸、
井納翔一がいるが、前者は故障離脱中、後者は開幕直後の背信投球で以降は二軍調整が続いている。開幕直前のトレード加入となった
廣岡大志も定位置奪取には至っていない。移籍加入年を2020年まで広げれば、打率がリーグ6位のZ.
ウィーラーは前半戦の苦しい時期を支えた功労者で、ウィーラーと同じく
楽天から加入の
高梨雄平もブルペンに欠かせない存在となっている。
阪神タイガース
後半戦スタートとなった8月13日の
広島戦(京セラドーム)は落としたが、翌14日の同戦は7月にトレードで
ソフトバンクから移籍してきた二保旭が先発。5回1/3を3失点に抑え9対3での勝利に貢献。後半戦初白星をもたらした。しかし、次先発となった21日の
中日戦(バンテリン)では、3回3失点で降板(2対6)し、二軍調整となった。そのほか、ソフトバンクを解雇された
加治屋蓮や
ロッテから移籍してきた
チェン・ウェインなどは開幕一軍メンバーだったが、成績が挙げられず二軍で調整中となっている。
東京ヤクルトスワローズ
国内移籍組なら、田口麗斗の活躍が光る。春季キャンプの打ち上げとほぼ同時に、廣岡大志とのトレードが発表されて話題を呼んだ。ここまで16試合に先発して4勝7敗、防御率3.83とまずまずの数字を残している。ただ期待値が高いからこそ、より良い結果を求めたい。8月20日の広島戦(マツダ広島)では、5回まで広島打線を2安打ゼロ封。しかし6回に突然崩れ、一挙5失点し敗戦投手となった。ゲームメークできるスタミナもボールも持っている。優勝を争うチームのため、白星を積み重ねてほしい。また、現在は故障離脱中だが、前半には楽天から育成を経て加入した
近藤弘樹が、リリーフとして圧倒的な投球を見せた。スローイングは再開している。奮起に期待したい。
中日ドラゴンズ
44歳の球界最年長選手が福留孝介だ。8年間に及ぶ阪神のユニフォームに別れを告げ、今季から古巣の中日に復帰。当初は年齢による体力の衰え、また若手の出場機会を奪うなど獲得に否定的な声もあったが、今それを口にする者はいないはずだ。レギュラー定着とまではいかないが、勝負強い打撃で存在感を発揮している。目を覆いたくなるような貧打線の中で
大島洋平、
ビシエドとともに合格点を与えられる数少ない打者と言える。5月29日の日本ハム戦(札幌ドーム)では三番・DHで出場して4安打を記録。44歳での4安打は
谷繁元信元監督以来、史上2人目の快挙となった。戦力としてはもちろん、野球に対する取り組みなど若手への良きお手本にもなっており、福留復帰はチームにとって大正解だったと断言できる。
広島東洋カープ
大物選手のトレードはあまりないが、中堅選手のトレードでは着実に成果を挙げている。2018年途中にソフトバンクから獲得した曽根海成は今では代走の切り札。思い切りのいい走塁でチャンスを拡大している。19年途中に楽天から獲得した
三好匠は、内野の守備固めとして、これまた信頼度はNo.1だ。現在はファームだが、19年に楽天から獲得した
菊池保則も、その年に15ホールドを記録した。ただ、交換トレードが成功を収めている陰で、「もうちょっと頑張ってほしい」という存在は、むしろ
丸佳浩(現巨人)のFAの人的保証で加入した
長野久義か。「丸の代わり」を求めるのは酷だとしても、まだ本領を発揮できている感じではなく、奮起が望まれる。
横浜DeNAベイスターズ
メジャーでの登板経験もある速球派としてエスコバーが日本ハムに入団したのが2017年。しかし、先発として期待されながら結果が出ずに、さらに外国人枠との兼ね合いもあり、7月に捕手の黒羽利規との交換トレードでDeNAに移籍した。ベイスターズではリリーフに適性を見出され、セットアッパーとして活躍。この年はCSを勝ち上がり、日本シリーズのマウンドも経験した。その後も、貴重な左腕リリーフとしてブルペンを支え、2019年にはリーグ最多74試合に登板するなど鉄腕ぶりを発揮。荒れ球ながらスピードボールが武器で、今季はNPB左腕最速となる163キロをマークしている。
写真=BBM