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日本ハムの新主砲・野村佑希に「中田翔を超える潜在能力ある」の声が

 

「スケールの大きい打撃」



 最下位に低迷する日本ハム。長年四番を担っていた中田翔が無償トレードで巨人に移籍し、チームは変革を迫られている。その中で打線の柱として期待されるのが高卒3年目の野村佑希だ。

 8月20日の楽天戦(札幌ドーム)からの4試合で3本塁打6打点と気を吐くと、25日のロッテ戦(札幌ドーム)でプロ入り初の四番に抜擢される。5回に一時勝ち越しとなる2点中前適時打を放つと、一塁の塁上で右腕を突き上げた。チームは逆転負けし、借金は今季最多タイの16で自力優勝が消滅したため試合後は険しい表情だったが、野村の今後の活躍が上位浮上へ不可欠な要素となる。27、28日の西武戦(メットライフ)は三番に座ったが、27日は2安打2打点、28日は初回に先制適時二塁打。8試合連続安打、5試合連続打点をマークしている。

 他球団のスコアラーは野村への警戒を口にする。

「スケールの大きい打撃で穴がない。タイプで言えば広島鈴木誠也に似ていますね。リストが強くて広角に長打が打てる。内角をさばく技術も天才的。中田翔を超える潜在能力は十分にあると思います」

 ドラフト1位で複数球団による争奪戦となった根尾昂(中日)、藤原恭大(ロッテ)、小園海斗(広島)と同世代。全国に名を轟かせたのが埼玉・花咲徳栄高の2年夏だ。四番で2本のアーチを放つなど25打数13安打、打率.520の大活躍で全国制覇に導いた。野村は週刊ベースボールのインタビューで、「2年夏は先輩たちに引っ張られて、あれよ、あれよで、甲子園の舞台に立ち、頂点に立ちました。四番を任されていましたが、いつも僕の打席が回ってくるころには、点数が入っているほど周りの打者がすごかったですね。いい意味で、プレッシャーもなく気楽にプレーすることができた結果だと思います」と周囲への感謝を口にした。

 さらに「チーム内には上下関係がほとんどなく、先輩から厳しく言われた記憶はないです。昔は、そうじゃない雰囲気の時代もあったようですが、僕らのころから変わってきたようです。岩井監督も怒るときは厳しかったですが、選手に考えさせて、自立をうながすというか、そういう方向になっていましたね。掃除なんかも先輩が率先してやるようになったり、そういう雰囲気も甲子園優勝の要因だったと思います」と振り返っている。

アクシデントに見舞われて


 2019年にドラフト2位で日本ハムに入団すると、1位の吉田輝星とともに将来のチームを背負う逸材として期待された。1年目の19年は8月末に左股関節後方亜脱臼で戦線離脱。全治5カ月の大ケガだった。さらに昨年3月の練習中に自打球が直撃し、鼻骨を骨折した。

 昨季はコロナ禍による開幕延期や故障者が出たことで、初の開幕スタメンに抜擢される。開幕3連戦は安打が出なかったが、2カード目初戦となった6月25日の楽天戦(楽天生命パーク)で自身初の猛打賞をマーク。7月2日のソフトバンク戦(札幌ドーム)ではバンデンハークの148キロの直球を左翼席に運ぶプロ初アーチを放つと、1点ビハインドの9回二死二、三塁の好機で球界を代表する守護神・森唯斗の149キロの直球はじき返し、中堅フェンスに直撃する逆転サヨナラ二塁打。5日に同戦でも4回に左翼席中段へ決勝の2号アーチを放った。劇的な一打が多いのはスターの証でもある。このままレギュラーをつかむかと思われたが、7月7日のオリックス戦(京セラドーム)で守備時に打球が直撃するアクシデントで右手小指を骨折。3カ月以上離脱し、復帰したのはシーズン終盤だった。
 
 3年目の今季も故障に見舞われた。2年連続開幕スタメンを飾ったが、4月10日のオリックス戦(京セラドーム)で9回にスライディングした際に左ヒザを強打。左ヒザ打撲による関節炎で1カ月半以上離脱した。

 アクシデントは不可抗力だが、ケガに強いのも一流選手になるための大事な要素だ。野村はプロ入団時のインタビューで「(新球場が完成する)2023年にはチームの主力になっていたい」と目標を掲げているが、その設定を上方修正してもらわなければいけないほどの成長速度を見せている。強靭な肉体と精神で球界を代表する長距離砲へ、日本ハムで「不動の四番」になるのは目標でなく使命だ。

写真=BBM
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