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[MLB] 2020年コロナ禍でキャンセルのマイナーシーズン 吉川峻平の再スタート

 

新型コロナ禍によるマイナーキャンセルで、吉川のメジャー昇格までのプランが一時崩れたが、今季もう一度、組み立て直し22年以降の昇格を目指す[写真は18年入団会見時]


 2018年9月、ダイヤモンドバックスとマイナー契約を結んだ吉川峻平投手が入団会見に臨み、同球団のアミエル・ソーディアシスタントGMは「彼は先発。チェンジアップはメジャーでも決め球として使える。今すぐにマイナーの試合で投げられる」と紹介した。本人も「日米大学野球で対戦した選手が、こっちのドラフトで半分以上、上位で指名されていた。そういう選手がやるところでプレーしたいと思った」と意気込んだ。あれから3年、26歳の吉川はほかの多くのマイナーリーガー同様、新型コロナによる20年のマイナーシーズンキャンセルのショックを乗り越え、上を目指す。

 8月10日ハイAノースウェスト・リーグのヒルズボロ・ホップスで先発。2回を投げ2安打2失点も、3三振を奪った。このチームのシーズンは9月19日までだが、先発投手として徐々にイニングを増やし、結果を残していく。吉川の19年はハイAで103回1/3を投げ、防御率3.75 、123三振22 四球の好成績。「制球力がありゲームも作れる」と評価された。

 その後の20年は2Aで先発ローテとして実績を積み、21年はメジャー昇格候補の一人になるという計画だった。しかしながら新型コロナで状況は一変。20年は実戦で一度も投げられず、日本で単身汗を流すだけ。ダイヤモンドバックスはイニングを投げさせておこうと、11月にオーストラリアに派遣することにしたが、ヒジに違和感が出る。

 MRIでは何も見つからなかったものの、違和感は21年になっても続いた。今年はマイナーシーズンが再開されたが、吉川はエクステンデッドスプリング(春季延長キャンプ)でアリゾナに残りリハビリを続けた。マウンドから投げられるようになったのは6月。7月に実戦形式で数試合に登板。ようやく傘下のマイナー球団に派遣できるようになった。

 しかしながら新たな問題が出てきた。今年は新型コロナ禍のために2A、3Aのベンチ入り選手の数が過去の25人から28人に増えていた。MLB球団がリクエストしたもので、コロナでメジャー選手の健康面に不安がある中、いつでも上に昇格させられる選手(特に投手)をマイナーに余分に待機させておきたかった。

 人数が多いため、なかなか登板機会が回ってこない。吉川は7月15日、2Aテキサス・リーグのアマリロ・ソッドプードルズに配属されたが18日、リリーフで6人の打者に投げただけ。30日に3Aパシフィックコースト・リーグのリノ・エイシスに配属替え、8月2日の試合に五番手で登板、1/3イニング、11球のみ。そして6日、ハイAヒルズボロに配置換えとなった。

 レベルは下がってしまったが、ここではきちんと登板機会が与えられる。徐々にイニングを増やし、先発投手の肩を取り戻すのが目標だ。そして22年は2Aか3Aでバリバリ投げメジャー昇格候補に食い込みたい。

 吉川が日米野球で対決した選手はブリュワーズのケストン・ヒウラ二塁手、レイズの二刀流ブレンダン・マッケイなど。彼らと同じ土俵を目指す。

文&写真=奥田秀樹
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