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外国人新記録の32試合連続無失点 巨人の守護神・ビエイラに「大谷翔平よりすごい」

 

「170キロ出しても不思議ではない」



 巨人がリーグ優勝を飾ったら、MVP候補の一人であることは間違いないだろう。抜群の安定感を誇る守護神のチアゴ・ビエイラだ。9月2日のヤクルト戦(京セラドーム)で失点するまで外国人投手新記録の32試合連続無失点を達成。4日の阪神戦(甲子園)では大山悠輔にサヨナラ2ランを浴びたが、翌日の同カードは9回二死満塁のピンチを背負ったが無失点でしのいだ。

 最大の武器は手元でホップする直球だ。8月13日の中日戦(東京ドーム)でNPB歴代最速の球速166キロをマーク。昨年のソフトバンクとの日本シリーズで自身最速の164キロを計測し、「限界はないと思っています。スピードも、もっともっと出ると思う」とエンゼルス・大谷翔平日本ハム在籍時のNPB最速165キロ超えにも自信を見せていたが、まさに有言実行だ。

 大谷、ビエイラの両投手と対戦経験がある選手はこう分析する。

「大谷の直球は速かったですが、ビエイラはそれ以上に速く感じる。ビエイラは足の上げ幅が小さくてコンパクトなフォームなのでそこまで迫力を感じないのですが、投げた瞬間にあのフォームから想像できない剛速球が来るので球速以上に速く感じる。それでも昨年までは変化球でストライクが入らなかったのでどうにかバットに当てられましたが、今年は縦のスライダーの精度がグッと良くなりカウントを取ったり、勝負球で使っている。追い込まれたらスライダーをケアしなければいけないので直球の威力をさらに感じる。制球力も良くなっているし、これからどんな投手になるか想像がつかない。170キロ出しても不思議ではないと思います」

 来日2年目の今季は決して順風満帆ではなかった。開幕を一軍で迎えたが4月24日の広島戦(東京ドーム)から3試合連続複数失点で防御率6.92に悪化。5月4日、ファームに降格した。だが、同月18日に再昇格すると、今年から習得に励んでいた縦に落ちるスライダーを身につけて投球に幅が広がった。5月上旬から無失点の投球を続けると、首脳陣の信頼を高めて救援陣の中での序列も変化した。勝利の方程式を担うセットアッパーに組み込まれ、6月から守護神に抜擢される。

 結果を出して注目度が上がっても慢心しないのは、少年時代に母国・ブラジルで日系人たちとともにプレーしていた影響が大きい。「毎日、一生懸命、練習して、結果を待つだけ」と地道に練習に取り組む。チームメートも一目置く野球へのストイックな姿勢が好結果に結び付いている。

クルーンを超えられるか


かつて巨人でクローザーを務めたクルーン


 巨人の守護神で思い浮かべるのがNPBで初めて160キロを超えるボールを投げたマーク・クルーンだ。最速162キロの直球と150キロ近い高速フォークで圧倒した。相手打者が恐怖を覚える荒れ球も武器に。横浜(現DeNA)から07年オフに巨人に移籍すると、加入1年目の08年に41セーブで最多セーブ投手のタイトルを獲得するなど在籍3年間で計93セーブをマーク。横浜在籍時を含め、来日通算歴代2位の177セーブを挙げた。

 ビエイラはまだ28歳。向上心旺盛な「優良助っ人」はクルーンの記録を超える可能性を十分に秘めている。今年のセ・リーグは「守護神の宝庫」だ。9月6日現在、リーグトップの28セーブをマークしている阪神のロベルト・スアレス、東京五輪で金メダルを獲得した侍ジャパンでも守護神を務めた広島・栗林良吏、最速161キロの直球と多彩な変化球で異次元の投球を見せる中日のR.マルティネス……。もちろんビエイラも負けていない。佳境を迎えたペナントレース。各球団の守護神の出来がチームの命運を握りそうだ。

写真=BBM
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