チームに勝利を呼ぶクローザー。試合を締める存在がしっかりと確立されていなければ上位進出も望めない。シーズンも終盤戦に入るがセ・リーグ6球団の「守護神」の評価はいかに? 100点満点で採点した。 記録は9月6日現在 阪神タイガース
阪神 95点
100点満点でもいいくらいの安定感を誇っている。100点は優勝する瞬間まで待っておきたい。開幕から42試合に登板し、負けはわずか「1」でリーグトップの28セーブと抜群の安定感を誇るスアレス。19試合連続無失点や、現在も9試合連続無失点とマウンドに上がれば得点を与えず試合を終わらせるスアレス。常時155キロを超える真っすぐとチェンジアップの組み合わせで抑える。何より、コントロールが抜群で、打者は見逃せばすぐに追い込まれるため、勝負が早くなる。それにより投球にテンポもあるだけに守備も守りやすい。9回までにリードしていれば必ず勝てる。それが、阪神が首位に立つ要因の1つでもあるのだ。
読売ジャイアンツ
巨人 90点
加入2年目のブラジル出身右腕のT.ビエイラが離脱を繰り返したR.デラロサに代わり、今季途中からクローザーのポジションをつかんだ。9月1日の
ヤクルト戦(京セラドーム)ではNPBの外国人記録を塗り替える32試合連続無失点を樹立。今季はさらに日本最高球速の166キロもマークした剛腕クローザーは、この時点までなら100点満点のパフォーマンスだった。しかし、9月4日の阪神戦(甲子園)で1点リードの9回無死一塁からサヨナラ2ランを被弾するなど、2日のヤクルト戦(京セラドーム)から2戦連続で救援失敗。上位を争う2チームとの大事な試合だっただけに、10点のマイナスとした。とはいえ、ここまでチーム最多の46試合の登板で、1ホールド16セーブの活躍。佳境を迎えるV争いでも重要な役割を担うことが期待される。
東京ヤクルトスワローズ
ヤクルト 50点
本来、ヤクルトのクローザーは
石山泰稚だが、4月下旬ごろから調子を落として中継ぎに回っている。現在9回のマウンドに立つのは、7、8回でセットアッパーを担っていたマクガフだ。シーズン途中からのクローザー就任とはいえ、リーグ3位タイの19セーブなど見事な投球を見せていた。しかし、9月2日の巨人戦(京セラドーム)では、9回表に1点を勝ち越した裏に同点にされ、引き分けた。東京五輪でもアメリカ代表として5試合に登板しており、若干の疲労が見えてきていることは事実。
高津臣吾監督は今後もマクガフに9回を任せることを明言しているが、もう少し安定感が欲しい。
中日ドラゴンズ
中日 90点
リードした9回のマウンドに上がるのはR.マルティネス。竜の絶対的守護神だ。ただ新型コロナ禍の影響による調整遅れで開幕には間に合わず、5月下旬からはキューバ代表として東京オリンピック予選に出場したために戦線離脱。記録自体は33試合で15セーブと他球団の抑えに比べるとやや物足りない。それでも防御率は0.83と抜群の安定感を見せている。193センチの長身から繰り出す剛速球が最大の武器。うなりを上げるストレートが投球割合の多くを占めるが、スライダーなどの変化球もあり、打者のタイミングをうまく外している。以前は制球力に難があったが、それも大きく改善されている。12球団屈指の投手陣、リリーフ陣の合言葉は「ライデルへつなげ!」だ。
広島東洋カープ
広島 98点
ルーキーながら開幕からクローザーに指名された栗林良吏は、過去の新人を大きく上回る開幕から22試合連続無失点を記録。抑えに失敗したのは交流戦の6月13日の
オリックス戦(京セラドーム)のサヨナラ負け1回のみ。ここまで23セーブ、防御率は0.47なのだから、採点はほぼ満点で差し支えない。8月20日のヤクルト戦(マツダ広島)では史上7人目、広島では2003年の
永川勝浩現投手コーチに次ぎ2人目の新人20セーブを記録。永川コーチがその年に挙げた25セーブも視界に入り、「目標にしてきた数字。一つでも多くセーブ、登板数を上げていければ」。シーズン序盤は
佐藤輝明(阪神)の存在感に押されていた新人王争いも可能性がふくらむ。
横浜DeNAベイスターズ
DeNA 65点
不振の
山崎康晃に代わって昨年途中から三嶋一輝がクローザーを務め、今年も防御率2.76、リーグ3位タイとなる19セーブとまずまずの数字を残している。しかし、今季は4敗。サヨナラ弾を許した巨人との開幕戦(3月26日、東京ドーム)をはじめ、3点リードを守り切れずサヨナラ負けの阪神戦(7月12日、甲子園)など、痛打を浴びる印象が強い。もともとコントロールはアバウトでも、球威やキレで抑えるタイプ。今季はシュート回転で甘く入った速球を弾き返されることが多い。それでも
三浦大輔監督の信頼は揺らぐことはなく、背番号「17」が9回のマウンドに上がる。
写真=BBM