阪神、ヤクルト、巨人の三つ巴で3.5ゲーム差以内で首位争いをする、まさに“乱セ”。その中で、阪神が実績のある先発陣の復調で一歩リードをしそうな気配だ。 先発陣の防御率はリーグトップ
9月10日の広島戦で通算100勝をマークした西勇
当然のことだが、プロ野球は試合がつくれる先発ローテーション投手が多いほど強い。先発が早い回で崩れたら負ける可能性は高くなる。乱セの中で、阪神が4月から首位を走ってきた理由はこの「当然のこと」ができていたからである。
しかし、先週9月7日からの6連戦は3勝3敗。すでに今季10勝の
青柳晃洋が9月7日のヤクルト戦(甲子園)で5回5失点。9日の同戦で
高橋遥人が4回6失点。9月12日の
DeNA戦(横浜)で
ガンケルが6回5失点と崩れ大敗を喫した。
それでも、先発陣の防御率はリーグトップ。しかも先発勝率が.582と高いまま。いかに先発陣が前半戦好調だったかが分かる。そして、9月10、11日の広島戦(マツダ広島)では先発陣にもう一度、前半戦のようないい兆候が見られ始めた。
10日の先発はエース・
西勇輝。5回までながら粘りの投球を見せ1失点に抑え、今季ようやく5勝目を挙げ(4対1)、自身通算100勝目を飾った。この試合6回の攻撃時、追加点のチャンスで西勇は代打を出されて降板となったが、それがなければ十分に長いイニングは投げられた投球内容だった。「前半、中盤と自分のピッチングというのがなかなかできない試合が多かったので、これからはチームに貢献できるように一つひとつ大事に投げていきたいと思います」と西勇。
9月に入り疲労感を見せていた秋山だが、11日の広島戦では7回途中まで無安打の好投
それまで19試合に先発して11のクオリティースタートを記録し、防御率も3点台と悪くはなかったが、先取点を奪われる試合が多かった。そこを修正し、丁寧に投げての今季5勝目。ここから激化する首位争いにエースのエースらしい姿が戻ったのは大きい。
そして翌11日、前回登板、首位攻防戦の巨人戦(甲子園)で2回3失点で降板するなど、やや調子を落としていた
秋山拓巳が7回を1安打1失点(4対1)で2年連続となる10勝目を挙げ「前回ふがいない投球をしていたので、しっかり投げると意気込んでいました」と復調をアピール。
先発が踏ん張り、少ない点数を守り切る「勝利のパターン」が復活する兆しが見えてきた。これがもう1度完成すれば、追いすがる2チームを引き離し、Vロードまっしぐらとなるはずだ。
写真=BBM