週刊ベースボールONLINE

HOT TOPIC

パ・リーグ新人王は大本命・宮城大弥だが…「伊藤大海の活躍次第で大逆転も」の声が

 

最下位のチームで孤軍奮闘



 球界を代表する投手への飛躍が期待される左右のエースがパ・リーグの新人王を巡り、熾烈な争いを繰り広げている。オリックスの高卒2年目左腕・宮城大弥と、日本ハムの大卒1年目右腕・伊藤大海だ。

楽天早川隆久も開幕から先発ローテーション入りして頑張っていますが、宮城と伊藤の一騎打ちの様相を呈しています。宮城は11勝2敗、防御率2.26と申し分ない成績で大本命ですが、伊藤も9勝5敗、防御率2.59と安定した投球を続けている。前半戦は好投しながらも打線の援護がなく白星がつかなかった試合も多い。投球内容を見ると現時点で2ケタ勝利の価値は十分にあります。活躍次第で大逆転の新人王獲得はあり得る」(スポーツ紙記者)

オリックス・宮城大弥


 交流戦に優勝し、一時は首位に浮上するなど昨季の最下位から変貌を遂げたオリックス。宮城の活躍がなければこの位置にいなかっただろう。佐々木朗希と同世代の左腕は1年目の昨年ウエスタン・リーグで13試合登板し、6勝2敗、防御率2.72で最多勝を獲得。シーズン終盤に一軍昇格を果たすと、11月6日の日本ハム戦(京セラドーム)でプロ初白星を挙げた。そして、今年大ブレークを果たす。エース・山本由伸とともに先発の柱になり、前半戦から順調に白星を積み上げた。キレのある直球、スライダー、チェンジアップ、カーブが同じフォームから繰り出され、球の精度が高い。ピンチにも動じないマウンドさばきはベテラン顔負けで大崩れすることがない。「勝つコツ」をつかんでいるように見える投球は芸術的だ。

 一方、伊藤は最下位に低迷する日本ハムで奮闘している。東京五輪で初選出された侍ジャパンのセットアッパーとして金メダルに大きく貢献したように、大舞台で力を発揮する。チームでも5月21日終了時点で1勝4敗だったが、7回1失点で白星をつかんだ5月28日の中日戦(札幌ドーム)以降は8勝1敗と投げるたびに進化している。その器用な投球スタイルは日本ハムの先輩・ダルビッシュ有(パドレス)を彷彿とさせる。

 150キロを超える直球に加え、変化球もスライダー、スプリット、カットボール、チェンジアップ、カーブと多彩で自由自在に操る。宮城が今月に入って2試合連続5回で降板と少し疲労が見えるのと対照的に、伊藤は8月29日の西武戦(メットライフ)でプロ入り初の完封勝利、続く9月7日の楽天戦(札幌ドーム)でも7回2失点で9勝目を挙げるなど、初めて経験する長丁場のシーズンでも無尽蔵のスタミナで好投を続けている。

張本勲氏の見立ては……


楽天・早川隆久


 野球評論家の張本勲氏は週刊ベースボールのコラムで、「パ・リーグはオリックスの宮城大弥が少し抜け出した感がある。先発左腕としてすでに2ケタの10勝をクリアし、オリックスの首位の原動力にもなっている。宮城はプロ2年目の20歳で、ルーキーだった昨年は3試合に登板して1勝しているが、16回しか投げていない。それにしても2年目にここまで飛躍するとは誰が予想できただろう。真っすぐは140キロ台で目を見張るスピードはないが、スライダーやカーブ、チェンジアップなどにキレがあり、打者にとっては的を絞りづらい。緩急を使った大人の投球ができるのが強みだ。チームに山本由伸という絶対的なエースがいることも大きいのではないか。現時点ではパの本命だろう。このまま安定した投球を続け、オリックスが優勝すれば間違いないのではないか」と分析する。

 一方で、「対抗は早川隆久(楽天)と伊藤大海(日本ハム)だ。宮城も含めて3人とも先発投手だが、早川は前半戦に比べると少し勢いが落ちている。開幕当初はルーキーらしく向かっていけたが、最近は中盤につかまるケースが多く、6月上旬に7勝目を挙げてから白星がない(9月13日現在)。プロの壁に当たっているように感じる。早川とは逆に勢いをつけてきたのが伊藤だ。チームは最下位に沈んでいるが、その投げっぷりの良さは見ていて気持ちがいい。東京オリンピックでも代表に選ばれ、小気味いいピッチングを披露した。ここから勝ちまくって勝利数で宮城を抜けばタイトルの可能性も出てくる。それは早川も同じだ。日本ハムは厳しいが、楽天は優勝の可能性も十分に残されているから、早川が活躍してチームも優勝となれば印象はガラリと変わる。新人王は数字では決まらない。新聞、通信、放送各社に所属する記者の投票によって決まるから、印象というのは重要なのだ」と力説している。

 シーズンも佳境に入った。優勝争いとともに、ハイレベルな新人王争いの行方も注目される。

写真=BBM
週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部が今注目の選手、出来事をお届け

関連情報

みんなのコメント

  • 新着順
  • いいね順

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング