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背番号物語

【背番号物語】広島「#17」チームの歓喜と密接にリンク? 日本シリーズの山根和夫、V3の岡田明丈

 

初優勝から現時点で最後の日本一まで



 広島が25年ぶりにセ・リーグを制した2016年に入団、翌17年には12勝を挙げてリーグ連覇に貢献した右腕の岡田明丈が背負う広島の「17」。紹介したばかりのDeNAでは古くからエースナンバーに近い系譜となっていたが、一般的にもエース格の投手が着けることが多い背番号であり、ドラフト1位で入団して1年目から「17」を背負った岡田は、2年目にして早くも期待に応えた形となった。

 ただ、その後は失速。岡田に白星があった16年から18年は広島もリーグ3連覇を達成したが、岡田がゼロ勝に終わった19年からは歓喜からは遠ざかっている。この3連覇で広島は日本一の座には着けなかったが、「17」の系譜を昭和の昔までさかのぼっていくと、1980年代を中心とした黄金時代に、日本一を決める頂上決戦で輝いた右腕の姿がよみがえってくる。山根和夫。3度の日本一に貢献して、“日本シリーズ男”の異名もあった速球派だ。

 広島が初のリーグ優勝を果たしたのは75年。その秋のドラフト2位で指名されたのが山根だった。入団は77年。最初に与えられたのは「35」で、速球は申し分なかったものの制球が定まらず、さらには腰痛に苦しんで、2年でクビ寸前のところまで追いつめられる。そこから根本的な部分からフォームを修正、迎えた79年にプロ初勝利を含む8勝を挙げて台頭すると、広島も4年ぶりリーグ優勝。山根は近鉄との日本シリーズで2勝を挙げて初の日本一に貢献、シリーズ最優秀投手に選ばれた。

広島・山根和夫


 新たに「17」を背負って臨んだ翌80年には初の2ケタ14勝とペナントレースでも活躍して、広島もリーグ連覇。2年連続で同じ顔合わせとなった近鉄との日本シリーズでは山根も2年連続で2勝を挙げて優秀選手賞、広島も2年連続で日本一に輝いている。84年が山根のキャリアハイ。ペナントレースでは自己最多の16勝を挙げて、阪急(現在のオリックス)との日本シリーズでは胴上げ投手に。だが、その後は肩痛もあって急失速。山根の広島での白星は84年が最後となる。広島も84年が現時点で最後の日本一だ。広島は86年に2年ぶりリーグ優勝も、ゼロ勝に終わった山根はオフに西武へ移籍。引き続き「17」を着けて、救援のマウンドで復活を果たしている。

 広島の歓喜と密接にリンクしているように見える「17」。岡田の復調は、令和の広島でも復活のカギになるはずだ。ただ、広島は創設から25年、優勝とは無縁のチームであり、20世紀の黄金時代と21世紀のリーグV3までも25年の長い時間が必要だった。そんな低迷期にも「17」の物語は静かに続いていた。

右腕の系譜に光る「17」のレジェンド


広島・大竹寛


 最長は岡田の前任で、ドラフト1巡目で入団した2002年から13年まで背負った大竹寛だ。大竹は12年間で2ケタ勝利4度。14年にFAで移籍した巨人でも引き続き「17」でプレーを続けている。大竹から2年の欠番を挟んで継承したのが岡田で、山根と大竹の間には欠番のシーズンはなかったものの、5年を超えた選手は不在。20世紀で最後のVイヤーとなった1991年を挟む3年間「17」だったのは「33」の印象も強い右腕の川端順で、この91年も5勝を挙げたが、翌92年オフに引退した。山根の前も右腕が3年ずつリレー。前任の皆川康夫は東映(現在の日本ハム)では71年に新人王となったが、77年に来た広島ではゼロ勝のまま引退、その前の瀬戸和則もゼロ勝のまま76年オフにヤクルトへ移籍している。

 大竹に次ぐ10年間「17」を背負ったのが右腕の鵜狩道夫(好応、道旺)。黄金時代にあった西鉄(現在の西武)では芽が出ず、プロ4年目の58年に広島へ移籍すると、プロ初勝利を含む6勝、翌59年には自己最多の11勝を挙げている。鵜狩の前は1年の欠番で、56年までの4年間はDeNAの「17」でも紹介した捕手の門前真佐人だ。阪神の結成に参加したときから「17」だった門前だが、広島1年目は「12」。このとき「17」だった杉浦竜太郎は新人ながら51年の開幕投手を任された右腕で、門前に「17」を譲る形で53年には「38」に。白星なく1年で引退した初代の黒川浩も広島でプロとなった右腕で、開幕2戦目で黒星を喫している。

【広島】主な背番号17の選手
門前真佐人(1953〜56)
鵜狩道夫(1958〜67)
山根和夫(1980〜86)
大竹寛(2002〜2013)
岡田明丈(2016〜)

文=犬企画マンホール 写真=BBM
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