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背番号物語

【背番号物語】DeNA「#17」秋山登から斉藤明夫を経て…エースナンバーの筆頭候補?

 

初代は「17」のレジェンド捕手


大洋・秋山登


 DeNAは通算でリーグ優勝は2度、日本一も2度。長い歴史の瞬間で貴重な歓喜の2シーズンはチームが大洋だった1960年と同じく横浜だった98年だが、“日本一エース”といえるのは1人だけではないだろうか。38年ぶりの熱狂に沸いた98年はスターター陣も充実していたものの、誰か1人をエースと決めるのは難しい。圧巻だったのは「22」でクローザーの“大魔神”佐々木主浩だった。一方、最初の歓喜となった60年には不動のエースがいた。秋山登。その背番号こそ「17」だ。背番号の継承に淡泊なのは大洋からの伝統芸(?)だが、この「17」だけはエースの系譜が意識されているように見える。現在は監督としてチームを率いる三浦大輔がエースとして着けていた「18」が“横浜ナンバー”として欠番となっているDeNAだが、古くからのファンには、エースナンバーといえば「17」になるはずだ。

 プロ野球が現在の2リーグ制となった50年に、山口は下関を拠点に誕生した大洋。初代は阪神が最初に契約した門前真佐人で、このときから「17」を背負っていた。強肩で鳴らした捕手で、大洋でも1年目から司令塔の座に着いて、バットでもサイクル安打を達成するなど存在感を発揮している。門前は2年で広島へ移籍して、2代目は52年に入団した左腕の有村家斉。37歳の入団ながら1年目から9勝、内野や外野も守ったマルチプレーヤーだったが、さすがに3年で引退となり、1年の欠番を挟んで56年に「17」の3代目となったのが右腕の秋山だった。

 秋山は1年目から25勝を挙げて新人王に。サイドスローとアンダースローの中間くらいから投げ込み、59年まで6年連続で最下位と、どん底にあった大洋で、黒星は4年連続リーグ最多も、4年連続2ケタ勝利と孤軍奮闘。初めて白星が先行したのが60年だった。だが、中日との開幕戦を前に、すっぽ抜けた中日のノックバットがベンチにいた秋山の額に命中して、そのまま入院。最悪の幕開けだった。それでも、わずか10日でチームに合流すると、そこから先発、救援を問わず59試合に投げまくって21勝10敗と獅子奮迅の活躍。防御率1.75で最優秀防御率、MVPPに輝いた。大毎(現在のロッテ)との日本シリーズでも4試合連続で救援登板、そして4連勝。まさに日本一の立役者だった。

 62年には自己最多の26勝、64年にも60年と同じ21勝10敗とエースとして力投を続けたが、満身創痍となっていた秋山は翌65年に急失速。通算200勝まで7勝を残して67年オフに現役を引退、「17」は指導者としても69年まで背負い続けた。これを翌70年に継承したのは“秋山2世”と呼ばれた右腕。同じ右のサイドハンドでプロ4年目の山下律夫だった。

背番号と同じ17年をまっとうして


横浜・斉藤明雄


「12」だった69年に15勝でブレークした山下は「17」でも2ケタ勝利2度、V9巨人に牙をむいて印象を残したが、76年オフにクラウン(現在の西武)へ。翌77年に「17」を継承したのがドラフト1位で入団した新人の斉藤明雄(明夫)だった。即戦力となって新人王に輝いた斉藤は、2年目の78年には自己最多の16勝。いつしか口ヒゲがトレードマークとなって、救援に回った82年には5勝30セーブでセーブ王、規定投球回にも到達して、防御率2.07で最優秀防御率に輝いた。90年には先発に復帰して10勝。チームが横浜となった93年までプレーを続けて、背番号と同じ17年間のキャリアをまっとうした。「17」も最長の17年だ。

 その後継者がプロ7年目、「15」だった盛田幸希で、斉藤と同様、救援を中心に先発でも活躍した右腕。97年オフに盛田が近鉄へ移籍したことで、2度目の日本一イヤーとなった98年には「17」は欠番だった。翌99年には逆指名で入団した右腕の矢野英司が継承したが、2003年には「40」に。この03年に後継者となった加藤武治も右のセットアッパーだった。09年オフに加藤は日本ハムへ。翌10年からはロッテから来た清水直行が継承して先発として10勝も、故障もあって3年で退団。13年から「17」を背負っているのが現役の三嶋一輝だ。やはり先発から救援へとシフトした三嶋は、20年からはクローザーとしても機能している。

【DeNA】主な背番号17の選手
秋山登(1956〜69)
山下律夫(1970〜76)
斉藤明夫(1977〜93)
加藤武治(2003〜09)
三嶋一輝(2013〜)

文=犬企画マンホール 写真=BBM
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