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【MLB】45歳まで現役!? 前田健太の再出発、トミー・ジョン手術の裏側

 

トミー・ジョン手術を決断した前田健太。8年契約の6年目途中での決断。最終8年目には戻ってきて以前のようなパフォーマンスを見せてくれるはずだ


 トミー・ジョン手術を受けると決めた8月末の会見で、前田健太は前向きに「手術して10年後も投げられるかもしれない。そう思って決断した」と語った。「我慢して投げたら今年のような成績(6勝5敗、防御率4.66)になってしまう。クビになったら終りなので。自分の中で200勝という目標があるし、しっかり治して良い状態で続ける方が目標に近づける」。 

 前田とヒジ。運命というか、不思議な巡り合わせだと思う。2016年1月、前田のドジャース入団が発表されたとき、日本人選手の契約としては8年と最長で、基本給を抑えた分インセンティブが多いなど、異例づくめで話題になった。MRI検査の結果、アメリカの専門医が黄信号を出したからだ。

 昨年、ドジャースのアンドリュー・フリードマン編成本部長は「検査でああいうことがなかったら、もっと高額(の基本給)で契約していただろう。通常、われわれがMLBのFA選手と契約するときは、(その前に在籍していた球団から)メディカルのファイルを手にできる。数年間どんな治療を受けてきたかとかね。だが健太とサインしたときは、(日本の)医師から一行「KENTA IS DOING WELL(大丈夫だろう)」だけ。そこでクリエイティブに、ケガなく投げ続けられたら、それに報いる形にした」と振り返った。

 当時記者の間では仮にトミー・ジョン手術となればリハビリで1年半は離脱するから、その期間も想定しての8年なのではとささやかれていた。だが前田は最初の5年間は無事に投げ続けた。「たぶんこっちに来たときから僕の体はそんなに良くはなかった。でも痛みはなかった。人より痛みに強かったり、痛みを感じにくかったり。痛くても投げていけば収まってきた」。

 フリードマンも「あのヒジでも彼の身体が適応することを学んでしっかり投げ続けられている。アメリカ球界では希(まれ)なこと」と驚いていた。だがツインズ2年目、メジャー6年目に症状が悪化した。前田は「(痛みは)4月終わりころにスタートして、この前(8月21日)の登板までゼロにならなかった。休んでも痛みが取れない。試合の中でしんどいと思うこともたくさんあった」と明かす。

 とはいえ、ここで異例の8年契約が彼を救う。クビになることを気にせず6年目の残りと7年目はリハビリに専念できる。そして8年目に健康であると証明できれば新たな契約を勝ち取れる。「僕自身一番良いタイミングかなとも思った。(メジャーで)キャリアを積み重ねてきて、ある程度自分というものを分かってもらえた上で、手術を受けられるので」。

 20年、サイ・ヤング賞投票2位の実績がものを言う。筆者は前田には、長くメジャーで頑張ってほしいと思う。

 ヒジで運命をもてあそばれた感はあるが、医師には23年、35歳で復帰しても今まで以上の状態で戻れると言ってもらったそうだ。日本人メジャー・リーガーで一番多くのシーズンをプレーしたのはイチローで19年だが、投手は野茂英雄の12年が最長。偉大な先人を追いかける気持ちで、まずはメジャーで10年、その後も12、13年と積み重ねていってもらいたいのである。

文=奥田秀樹 写真=Getty Images

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