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3つのミスで桐光学園に敗れた桐蔭学園。主将・相澤白虎は「課題を受け止め、春と夏につなげたい」

 

ゲームの中で修正できず


桐蔭学園高の主将・相澤白虎(あいざわ・はくと)は四番・遊撃でチームをけん引したが、桐光学園高との神奈川県大会準々決勝で惜敗(1対2)した


 1点をめぐる、息詰まる攻防だった。桐蔭学園高は桐光学園高との神奈川県大会準々決勝(9月20日)を、1対2で惜敗した。

 桐蔭学園高・山口凱矢(2年)と桐光学園高・針谷隼和(2年)によるエース右腕による投手戦。その差は、どこにあったのか?

 桐蔭学園高はロースコアの展開で、致命的な3つのミスが出た。

 まずは、走塁。1対1の8回表の攻撃。無死一、二塁のチャンスも、二塁走者の主将・相澤白虎(2年)が投球後に飛び出してしまい、挟殺プレーでアウトになった。その後、三ゴロ失策で一死一、二塁とするが、次打者は二ゴロ併殺に倒れている。

 その裏、桐光学園高は先頭の九番・阿部陽向(2年)が中二塁打を放つ。一番打者の際に捕逸で、二塁走者は労せずして三進。続く二番・米山幸汰(2年)が打ち上げた飛球を、桐蔭学園高の左翼手が目測を誤って、捕球できなかった(記録は二塁打)。2つの守りのミス。この1点が、決勝点になってしまった。

 9回表、桐蔭学園高の攻撃。先頭打者の三ゴロを桐光学園の磯貝一斗(1年)は軽快にさばいた。次打者はまたも、高いバウンドの三ゴロ。猛然と突っ込み、ショートバウンドで捕球して素早く一塁送球。磯貝は5回に悪送球、8回に捕球ミスと2つのエラーを犯していたが、気持ちを切り替え、決して引きずらなかった。ゲームの中で修正。もう一つの差が、ここに出たのである。

 試合後、桐蔭学園高の主将・相澤は「ミスのある試合。そこをいかに少なくできるかがポイントだったが、大事な場面で出た」と反省を口に。四番打者としては初回の二死二塁、5回の二死一、三塁で「自分が打てば、チームの士気も上がるが、力んでしまった」と、一本を出すことができなかった。一方で、遊撃守備では球際の強さを見せ、好フィールディングを連発していた。

 遠投98メートル、50メートル走6.2秒の潜在能力。右投右打の遊撃手・相澤はエリート街道を歩んできた逸材である。小学6年時にライオンズジュニアでプレーし、侍ジャパンU-12代表にも名を連ねた。中学時代に在籍した新座ボーイズでは、世界少年野球大会(イタリア)で優勝している。

「練習環境を見学させてもらい、選手たちが主体的に考えて動くスタイルが、自分に合うと思いました」と神奈川の強豪・桐蔭学園高への進学を決めたという。

野球人生初の大役


 相澤は旧チームから五番・三塁で出場し、主将で二塁手の三番・木本圭一(3年)、遊撃手の四番・松下歩叶(3年)から多くを吸収した。ところが、今夏は神奈川大会1回戦で慶應義塾高に敗退。同校が夏初戦で姿を消すのは1982年以来の屈辱だった。新チームでは片桐健一監督から主将に指名。相澤は野球人生初の大役も、着飾ることなく、目の前の取り組みを一生懸命こなした。

 守備でリズムを作り、攻撃へつなげる。伝統の桐蔭学園高の野球を追求してきたが、今秋の段階では発展途上だった。

「(県2位以内で関東大会に出場し)センバツを決めたかったですが……。負けた課題を受け止め、春と夏につなげていきたい。走攻守、すべてでレベルアップしていかないといけないです」

 桐蔭学園高は森敬斗(現DeNA)を擁した2019年春のセンバツに出場しているが、夏の甲子園は1999年を最後に遠ざかる。これから長い冬を迎えることになるわけだが、主将・相澤がけん引し、来夏へ向けた取り組みをスタートさせる。

文=岡本朋祐 写真=藤井勝治
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