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「これが『チームスワローズ』」6年ぶり優勝を狙うヤクルト・高津臣吾監督の「熱すぎる言葉」が話題に

 

選手たちに向けた4分の訓示


ヤクルト・高津監督


 ヤクルトの公式YouTubeで配信された1本の動画が話題を呼んでいる。9月7日の阪神3連戦(甲子園)の初戦を前に行ったミーティングで、高津臣吾監督が選手たちに向けた4分半の訓示だ。

 高津監督が現役時代に黄金時代を築いた恩師・野村克也元監督とのエピソードを語る。山田哲人村上宗隆石川雅規ら選手たちが真剣な表情で指揮官の目を見つめ、耳を傾ける。そして続けた。

「絶対大丈夫だから。この大丈夫という根拠は、君たちが自分のことをしっかり理解し、周りのチームメート、チームスワローズをしっかり理解したら、絶対崩れることはない。絶対大丈夫。しっかり自信を持って戦える。何かあったら僕が出ていく。何かあったら僕に相談しなさい。何かあったらコーチに相談しなさい。自分で抱え込まない。これが『チームスワローズ』。これで今年ずっと戦ってきた」

 高津監督の口調は熱を帯びる。

「去年の悔しい思いをどうやって今年晴らすかっていうことをずっとやってきたのが、今年の『チームスワローズ』。みんな自信を持って頑張れる。絶対大丈夫、絶対いけるから。絶対大丈夫。もし、今日グラウンドに立つときにふと思い出したら、『絶対大丈夫』と一言言って打席に、マウンドに立ってください。絶対大丈夫だと。どんなことがあっても僕らは崩れない」

 熱さと包容力を感じる口調に選手たちは引き込まれる。動画のコメント欄には「高津監督の言葉、すごく胸に響いた。こういう言葉を言われて選手たちも幸せだと思う。本当にスワローズはいいチームだと思います。これからも応援します!」、「心疾患で入院している娘も『絶対に大丈夫』と高津監督に励ましてもらっているようで涙が出てきました。スワローズも絶対に大丈夫」など称賛のコメントが多く寄せられた。

 ヤクルトは2019、20年と2年連続最下位に低迷。今季の開幕前の下馬評は低かった。だが、高津監督が提唱する「チームスワローズ」は一丸となり、投打の歯車がかみ合って快進撃を続けている。9月21日現在で55勝42敗15分。首位・阪神に1.5ゲーム差の2位につけている。

 15年以来6年ぶりのリーグ優勝を狙う戦いぶりから熱気、執念が伝わってくる。今月20日の広島戦(神宮)では7回まで相手右腕・森下暢仁に無得点に抑え込まれていたが、8回に4本の集中打で同点に追いつく。代打攻勢で宮本丈川端慎吾が連打で好機を作り、一番の塩見泰隆が中前適時打で1点を返すとベンチのボルテージが一気に上がった。二番の青木宣親は同点に追いつく左前適時打を放つと、一塁の塁上で何度もガッツポーズを繰り返した。劣勢の展開でも反発力でドローに持ち込む。個々の役割が明確で全員が同じ方向を向かっているから、このような戦いができる。

解説者の高津さい配の分析


 野球解説者のデーブ大久保氏はヤクルトの今季の強さについて、週刊ベースボールのコラムでこう分析している。

「ヤクルト快進撃の一番の要因は高津監督の采配ですよ。すべて監督が想定している中で采配を執っている感じで、動じることがほぼない。やはり、二軍監督を数年間経験していることからくる、落ち着きがあるのです。二軍というのは、勝敗も大事ですが育成も担っている場所です。多くの投手に実戦で投げさせる機会を与えないといけないんです。例えAという先発投手が3回まで無失点に抑えていても、その試合にBという投手も投げさせないといけない状況があるんです。いい試合の流れの中で交代させるのですから、必ず試合は動くんです。交代によって『試合の流れ』ができる。そういうことを毎試合のように経験しているので、どういうときに試合が動くのか、分かってくるようになります。そうなると、どういう投手を投げさせると、試合が動き出すかも分かる。その逆で、動かないことで何が起こりうるかも分かる。それは野手の起用でも同じです。高津監督は、外国人2人の来日が遅れて、チームが勝てないときでも、それを考慮して采配をしていました。それと同時に球団自体も、結果を受けてすぐバタバタ動くようなことをしない、温かさがありました。これがあったから現状の位置にいるのです」

 高津監督、首脳陣と強固な結ばれた選手たちが頂点を目指し、これからも熱い戦いを繰り広げる。

写真=BBM
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