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9失点も東海大相模相手に臆せず最後まで投げた向上・佐藤諒音。「関東4強」目指しセンバツへ

 

自分ができることに徹して


向上高は秋季神奈川県大会準優勝。原動力となったのは右腕エース・佐藤諒音である


 持ち味は出したものの、力の差を痛感した。向上高の右腕エース・佐藤諒音(2年)は東海大相模高との秋季神奈川県大会決勝(9月26日)で先発完投も、14安打を浴び9失点で敗戦投手(2対9)となった。

 4失点完投(5対4)した、前日(25日)の桐光学園高との準決勝に続いての連投だった。

「多少、疲れはありましたが、自分が何とかしないといけない立場です。桐光には何とか勝てましたが、相模には及ばなかった。通用した部分はありましたが、結果的に9失点。力が足りなかったということです」

 4回までは1失点と粘った。「低めにボールを集めて、コーナーを突くのがスタイルです」。最速135キロ。球威で押すよりも、制球力が生命線だ。フォークが武器であり、カーブ、スライダーも交えて、試合序盤は強力打線に的を絞らせなかった。とはいえ、東海大相模高は2回戦から準決勝まで5試合連続コールド勝ちで、計75得点を挙げていた猛打である。3巡目以降は、対応されてしまった。

「得点圏ではしっかり、一本を出してくる。そこで三振や、内野ゴロを打たせる投球術を磨いていかないといけない」

 強豪相手にも、決して臆することはなかった。

「試合前のウォーミングアップから威圧感があった。明らかに実力は、相手のほうが格上。自分たちは挑戦者。守りに入ってはダメだ、と。相手投手は140キロ以上のボールを投げてきますが、合わせる投球をするのではなく、自分ができることに徹していきました」

 佐藤は悔しさを糧としてきた。今夏の神奈川大会は主戦として投げたが、横浜高との準々決勝では1回持たずに降板。チームも3対11の7回コールドで敗退した。「先輩たちの借りを返す」と、夏以降は率先して動いてきた。

 尊敬するのは1学年上のエース右腕・猿山広輝(3年)だ。常日ごろの練習から「超えないといけない」と、先輩をお手本にし、自覚ある行動を取ってきたという。向上高・平田隆康監督は「佐藤しかいない」と全幅の信頼を寄せて、マウンドに送っている。

 秋の公式戦はまだ続く。向上高は神奈川2位校として関東大会(10月23日開幕、茨城開催)に初出場(春は過去2回出場)する。来春のセンバツ出場への重要な資料となる大一番。向上高は春夏を通じて甲子園の土を踏んだことがない。約1カ月後に控えたチャンスを受け、佐藤は「ベスト4に入る」と意気込む。「関東・東京」の一般選考枠は「6」。関東4強が選出への当確ラインと言われており、まずは「大会2勝」を目指す舞台となる。

文=岡本朋祐 写真=長尾亜紀
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