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センバツ連覇へ強い決意を見せる東海大相模の主将・百瀬和真「それが3年生への恩返しになる」

 

夏の県大会は不戦敗


東海大相模高の主将・百瀬和真(2年)は向上高との決勝(9月26日)で、代打で二塁打を放ち、塁上でガッツポーズを見せた


 思わず、感情が表に出た。ようやくチームリーダーとして、チームに貢献できた安堵感からだったという。

 東海大相模高の主将・百瀬和真(2年)は向上高との決勝(9月26日)で8回表に代打で登場。先頭打者で初球をたたくと、三塁後方へとしぶとく落とした。二塁ベースに到達するとガッツポーズ。この二塁打が口火となって2点を追加し、東海大相模高は9対2で快勝して、秋の神奈川県大会3連覇を遂げている。

「今大会の目標は県王者。一つの達成感はありますが、次は(センバツ出場がかかった)関東大会王者。一戦必勝で臨んでいきます」

 百瀬は今春、10年ぶり3度目の優勝を遂げたセンバツVメンバーの一員で、2年生唯一のレギュラー野手(当時は五番・一塁手)として活躍した。

 今秋の新チームでは主将に抜てきされたが、8月末の練習試合で帰塁した際に左肩を脱臼した。約3週間の安静。横浜商大高との準決勝(25日)、7回途中からの左翼守備で復帰。そして、決勝では左打席に立ったものの、万全から比べて5割ほどのコンディションだという。しかし、右肩に主将マークを着けている以上、引き下がるわけにはいかない。

 勝たなければならない理由があった。

 東海大相模高は今夏、新型コロナウイルスの集団感染により、県大会準々決勝を出場辞退している。不戦敗。戦わずして、甲子園春夏連覇の目標が途絶えてしまったのである。だからこそ、主将・百瀬は強調する。

「(来春のセンバツ甲子園での)春連覇が目標です。それが、3年生への恩返しになる。全員で紫紺の優勝旗を返還し、また優勝して、神奈川へ持ち帰りたい思いが強いです」

新監督の下で再スタート


 東海大相模高は今夏限りで門馬敬治前監督が退任し、9月からは原俊介新監督(元巨人、東海大静岡翔洋高前監督)が母校を指揮する。

「新しい監督の下で少し、不安があったのは事実です。戸惑いもありましたが、コーチもそのまま残っており、原監督は寮生活おいて会話を大事に、コミュニケーションをこまめに取ってくれます。監督を信じて、一丸となっていこうというムードになっています。自分たちの野球を力まずにやっていこう、とチーム内では話し合いを重ねてきました」

 主将・百瀬が前面にする自分たちの野球とは、伝統の「アグレッシブ・ベースボール」だ。

「守備を100パーセント。走塁を100パーセント。そのリズムを、攻撃に展開していく。バッテリーを中心に、守りから攻撃につなげていくのが持ち味です」

 今秋の県大会は2回戦から準決勝まで5試合連続コールドで計75得点。決勝はコールドがないが、8回の時点で同規定の7点差をつけていた。6試合82得点に対して4失点。激戦区・神奈川において、投打で圧倒する形となった。東海大相模高は県1位で関東大会(10月23日開幕。茨城開催)に出場する。勝負まで約1カ月。真価が問われるのはこれからだ。

文=岡本朋祐 写真=長尾亜紀
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