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13年連続となる都市対抗出場王手へ導く快投を見せた東芝・吉村貢司郎「打者一人ひとりを抑えることを考えていました」

 

火がついた闘争本能


都市対抗西関東地区二次予選。東芝の先発・吉村(右)は代表決定トーナメント1回戦(9月27日、対ENEOS)を4安打10奪三振でシャットアウト(1対0)した。左は8回表に決勝ソロを放った捕手・柴原


 13年連続となる都市対抗出場王手へ導く快投だった。東芝の大卒入社2年目右腕・吉村貢司郎(国学院大)がENEOSとの西関東二次予選代表決定トーナメント1回戦(9月27日)で4安打完封(1対0)。28日の三菱重工Eastとの第1代表決定戦へと駒を進めた。

「打者一人ひとりを抑えることを考えていました。完封は、その積み重ねです」

 9月14日から3日間、開催された代表決定リーグ戦では3チーム(三菱重工East、ENEOS、東芝)が1勝1敗で並んだ。都市対抗本戦には3チームのうち、2チームが出場できる。仕切り直しとなった代表決定トーナメントは9月27日から3日間の日程が組まれた。

 吉村は代表決定リーグ戦2試合で登板機会がなかった。「すごく大事な場面で投げたかったですが、使うか、使わないかは、監督が判断することですので……」と語るも「内心は、悔しかった」と明かす。代表決定戦リーグ戦後、平馬淳監督(法大)から「期待しているぞ!」と声をかけられ、より一層、調整にも力が入った。トーナメント1回戦の2日前に先発を言い渡されると「よし、やってやる!」と、闘争本能に火がついたという。

 心は熱く、頭は冷静に。立ち上がりから飛ばし、自己最速を1キロ更新する153キロを計測した。東芝は8回表、正捕手・柴原健介(日大)の左越えソロアーチで先制し、この1点を守り切った。9回裏二死二塁で、ENEOSの五番・小豆澤誠(上武大)にファウルで粘られたが、最後は「自信を持って投げた」と語るフォークで、この日10個目の三振に斬った。

 幕切れ後はバッテリーを組んだ柴原とグータッチも「無我夢中で、覚えていません(苦笑)」と、吉村は最後まで試合に集中していた。

 東芝は負ければ、29日の第2代表決定戦へ回る展開だった。この日の勝利により、仮に28日の第1代表決定戦で敗れても、第2代表決定戦(対ENEOS)に可能性を残す。つまり、2試合で1勝すればいい星勘定となったが、現場にはそんな余裕は一切ない。一戦必勝。東芝は第1代表で出場権を奪取するつもりだ。

文=岡本朋祐 写真=矢野寿明
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