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奇跡の同率首位打者も! 打撃タイトルの同時受賞は何例あった?

 

 今季も終盤戦を迎え、タイトル争いも激しさを増している。特に打撃タイトル争いはセパともに接戦で、「複数の選手が同率・同数でタイトル受賞」となる可能性もあるほどだ。では、過去に「打撃タイトルの同時受賞」は何例あったのだろうか?

同率での首位打者誕生は過去2回起きている


87年、首位打者を分け合った巨人・篠塚(左)、広島・正田


 まずは、「打率」「本塁打」「打点」の3タイトルで、同時受賞の回数を調べてみた。

●打率……2回

・1969年 パ・リーグ
張本勲(東映)、永淵洋三(近鉄)打率.333

・1987年 セ・リーグ
篠塚利夫(巨人)、正田耕三(広島)打率.333

 首位打者の同時受賞は過去2回。数ではなく打率で争うため、やはり並んでフィニッシュというのは起こりにくいようだ。1969年は張本が480打数160安打、永淵が486打数162安打でともに打率.333。1987年は篠塚が429打数143安打、正田が393打数131安打でどちらも.333だった。

●本塁打……10回

・1957年 セ・リーグ
青田昇(大洋)、佐藤孝夫(国鉄)22本

・1959年 セ・リーグ
桑田武(大洋)、森徹(中日)31本

・1961年 パ・リーグ
野村克也(南海)、中田昌宏(阪急)29本

・1981年パ・リーグ
門田博光(南海)、ソレイタ(日本ハム)44本

・1983年 セ・リーグ
山本浩二(広島)、大島康徳(中日)36本

・1984年 セ・リーグ
掛布雅之(阪神)、宇野勝(中日)37本

・2003年 セ・リーグ
ラミレス(ヤクルト)、T.ウッズ(横浜)40本

・2004年 セ・リーグ
T.ウッズ(横浜)、ローズ(巨人)45本

・2004年 パ・リーグ
松中信彦(ダイエー)、セギノール(日本ハム)44本

・2014年 パ・リーグ
中村剛也(西武)、メヒア(西武)34本

 同数での本塁打王は過去10回。打率と違って本数なので、比較的同時受賞となるケースが多いようだ。45本や44本と、ハイレベルながらも同数で決着することもあった。また、2014年のパ・リーグはチームメート同士が同じ本数でタイトル受賞と珍事が発生。ちなみに、同時受賞となったメヒアはNPB史上初となる「途中入団での本塁打王」でもある。

95年はオリックスイチロー(左)、日本ハム・田中(中)、ロッテ・初芝(右)の3人が打点王に輝いた


●打点……7回

・1954年 セ・リーグ
渡辺博之(阪神)、杉山悟(中日)91打点

・1972年 パ・リーグ
大杉勝男(東映)、野村克也(南海)101打点

・1990年 パ・リーグ
デストラーデ(西武)、石嶺和彦(オリックス)106打点

・1991年 パ・リーグ
デストラーデ(西武)、トレーバー(近鉄)92打点

・1993年 セ・リーグ
広沢克己(ヤクルト)、ローズ(横浜)94打点

・1995年 パ・リーグ
イチロー(オリックス)、初芝清(ロッテ)、田中幸雄(日本ハム)80打点

・2006年 パ・リーグ
カブレラ(西武)、小笠原道大(日本ハム)100打点

 最多打点の同時受賞は過去7回起こっている。特筆すべきは1995年で、なんと3人が同時にタイトルを獲得。打率ほどではないが、打点も差がつきやすく同時受賞はそうそう起こらない。そのため、同数はもちろん、3人同時受賞というのも非常にレアな記録だ。

同時盗塁王は1993年以降出ていない


 次は「安打」、「盗塁」、「出塁率」での同時受賞回数を調べてみた。

●安打……4回

・2004年 パ・リーグ
松中信彦(ダイエー)、川崎宗則(ダイエー)171安打

・2008年 パ・リーグ
片岡易之(西武)、栗山巧(西武)167安打

・2012年 セ・リーグ
坂本勇人(巨人)、長野久義(巨人)173安打

・2017年 セ・リーグ
丸佳浩(広島)、J.ロペス(DeNA)171安打

「最多安打」は1994年から表彰がスタートした新しいタイトルではあるが、2000年以降で同時受賞は4度発生している。このうち3度がチームメート同士。差がつきやすいタイトルで、4回中3回がチームメート同士というのは相当に珍しい。今季はDeNAの選手が打撃タイトル上位を占めており、5度目の「チームメート同士による最多安打受賞」が起こるかもしれない。

93年は巨人・緒方(写真)、横浜・石井が盗塁王を獲得


●盗塁……7回

・1986年 セ・リーグ
平野謙(中日)、屋鋪要(大洋)48盗塁

・1987年 パ・リーグ
西村徳文(ロッテ)、大石第二朗(近鉄)41盗塁

・1990年 セ・リーグ
緒方耕一(巨人)、野村謙二郎(広島)33盗塁

・1993年 セ・リーグ
緒方耕一(巨人)、石井琢朗(横浜)24盗塁

・1998年 パ・リーグ
小坂誠(ロッテ)、松井稼頭央(西武)43盗塁

・2010年 パ・リーグ
片岡易之(西武)、本多雄一(ソフトバンク)59盗塁

・2016年 パ・リーグ
金子侑司(西武)、糸井嘉男(オリックス)53盗塁

 最多盗塁の同時受賞は過去7度。パ・リーグでは2010年や2016年と2000年以降でも起きているが、セ・リーグでは緒方耕一と石井琢朗が24盗塁で並んだ1993年以降、同時受賞はない。

●出塁率……1回 ※1967年〜1984年までセ・リーグは最多出塁数

・1982年 セ・リーグ
掛布雅之(阪神)、田尾安志(中日)232回

 最高出塁率のタイトルは、「出塁数」で競っていた1982年に同数受賞が起こったのみ。「出塁率」ではこれまでに同時受賞は発生していない。打率と同じく割合のため、まったく同じ数字で並ぶことは難しい。もし出塁率で同時受賞となると、打率以上の奇跡といえるだろう。

 これまでに起きた「打撃タイトルの同時受賞」を紹介した。やはり本塁打や打点、安打といった数で競うタイトルは同数という例が多いが、割合で競う打率は2回、出塁率に関しては0回という結果になった。果たして今シーズンはタイトル同時受賞という奇跡は起こるのか、最後の瞬間まで見逃さないようにしたい。

文=中田ボンベ@dcp 写真=BBM
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