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巨人逆転優勝のキーマンは…「打率3割、20本塁打」が見えてきた遊撃で衰え知らずの坂本勇人

 

絶好調だった9月



 9月に入り苦しい戦いが続いている3位・巨人だが、キーマンの一人は坂本勇人だろう。今月は26日まで月間打率.392、5本塁打、14打点。丸佳浩やシーズン途中に日本ハムから加入した中田翔が打撃不振に苦しむ中、特筆すべき活躍をしていた。

「坂本のすごさは高度な技術だけではありません。毎年きっちり成績を残しているのは体が強く、精神面もタフだからです。遊撃という負担のかかるポジションでこれだけ長らく活躍した選手はいない。松井稼頭央も球史に名を残す遊撃ですが、30歳からメジャーで二塁に回っている。32歳の坂本が遊撃で衰え知らずプレーし続けているのは驚異的です」(スポーツ紙デスク)

 高卒2年目の2008年から遊撃のレギュラーに定着し、現在も遊撃を守っている。常勝を義務付けられている巨人でレギュラーを張り続けていることで、さらにその価値が上がる。腰痛を抱えながらも大きな戦線離脱がない。12年に最多安打(173)、16年にセ・リーグの遊撃手として初めての首位打者(.344)、最高出塁率(.433)のタイトルを獲得。19年はタイトル獲得こそならなかったが、40本塁打を放ってリーグMVPに。巨人の生え抜きの右打者で長嶋茂雄(現巨人終身名誉監督)の39本を抜く最多本塁打記録だった。昨年は右打者で最年少の31歳10カ月で通算2000安打に到達し、ベストナインとゴールデン・グラブ賞をダブル受賞した。

 今年は順風満帆ではなかった。5月9日のヤクルト戦(東京ドーム)で走塁中に右手親指を骨折し、1カ月間の戦線離脱。だが、ここからはい上がるのが坂本の真骨頂だ。東京五輪では侍ジャパンで不動の遊撃手としてフル出場。オープニングラウンド初戦のドミニカ共和国戦でサヨナラ安打を放ちチームを勢いに乗せるなど、金メダル貢献に大きく貢献した。

 侍ジャパンの稲葉篤紀監督は週刊ベースボールのインタビューで、坂本を絶賛している。

「私はこのチームにあえてキャプテンを置かないことにしていたのですが、最年長でもある勇人にはリーダー格としてチームを引っ張っていくことを期待していました。グラウンドで、ベンチで、国際経験も豊富な彼がチームに与えた影響は少なくありません。あれは仙台での合宿中、投内連係で、ある投手がイージーミスをしたんです。仕方がないヤツだな、という和やかな雰囲気だったんですが、そのとき勇人が『その一球で変わるぞ!』とぴしゃり。和気あいあと楽しくやるのはいい。でも、われわれは日本の代表として、金メダルに向けて戦っていくわけですから、正すべきところは正さなければいけない。その姿を見て、さすがだな、と思いました」とべた褒め。

 さらに「そんな勇人からウイニングボールを受け取ったのはうれしかったですし、あの笑顔ですよね。私が監督となって、勇人にはプレミア12からチームに加わってもらったのですが、今回も開幕戦から5試合、ショートというポジションでフルイニング出場してくれました。事あるごとに『オリンピックを目標にやってきた』と言ってくれていますけれども、そういう想いが彼の表情にも出ていましたので、本当にうれしかったです」と続けた。

中日3連戦では抑え込まれる


 しかし、9月28日からの中日3連戦(バンテリン)では4打数0安打、4打数1安打、4打数0安打と結果を残せなかった。坂本の打撃成績に比例するかのように29、30日の試合は完封負けするなど3タテを食らい、25日の阪神戦(巨人)からチームは5連敗。首位・ヤクルトには1ゲーム差、2位・阪神には4ゲーム差と優勝へ崖っぷちに立たされている。

 東京五輪の疲れは残っているだろう。9月30日現在、打率.291、18本塁打、40打点。「打率3割、20本塁打」も見えてきたが、勝負どころのシーズン最終盤でチャンスメーカーであり、ポイントゲッターでもある坂本の打棒が爆発しなければチームは勢いづかない。熾烈な優勝争いでヤクルトと阪神に離されてきたが、最後まであきらめない。逆転優勝に向け、キャプテンが攻守で躍動するしかない。

写真=BBM
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